人間には三大欲求があるといいます。言うまでもなく食欲、性欲、睡眠欲ですよね。
そのどれもが日々の生活を豊かにするためには絶対に欠かせないものばかりです。
ではこの中で一番融通がきき、調整しやすく、その気があれば生活を大きく改善できるものはどれでしょうか?
もうお分かりでしょう。 そう睡眠です。睡眠のとりかた次第では人生が大きく好転することもあるし、その逆もあり得ますよね……。
ここでは「睡眠がどれほど大切なのか」ということと、そのメリットについて考えていきたいと思います。
3時間睡眠は何だったのか?
昔「3時間・4時間睡眠法」なる書物やメソッドが一世を風靡したことがありました。
当時忙しいとおぼしき社会人や受験生が、こぞってこの方法をもてはやし、実践したように思います。
しかし結果はどうだったのでしょう?はたしてやって良かったのか、めざましい効果があったのか……。さしあたって目的を達成するために期間を決めてやれば、このような睡眠もあり得るでしょう。
でも今このような睡眠法を説く人はあまりいませんね。
なぜならあれから数十年という時が流れ、睡眠はしっかりとるべきという科学的根拠が実証されたのと、多くの人が睡眠の大切さを自覚するようになったからです。
人生の3分の1は睡眠
睡眠の大切さは、人が一日のうちどれだけの時間を費やしているかで一目瞭然です。
次のグラフは一日の睡眠時間を7時間とると仮定して、単純に一日のどれくらいの割合になるかを示したものです。
1日の生活時間配分(総務省統計局)平成18年
上のグラフからも分かるように、何と1日の約30パーセントを睡眠に費やしていることになります。それだけ睡眠は必要としているということですよね!
この30パーセントを多いと思う方もいるでしょうし、当然と思う方もいるでしょう。
ただ一つはっきりといえるのが、睡眠は単に休むだけの時間ではなく、身体の機能を整えて修復する大事な時間でもあるのです。
決してむやみに睡眠に時間を割いているわけではないですよね。意味があってそれだけの時間を睡眠に充てているのです。
睡眠は心身の充電時間
スマートホンやタブレット、家電製品は通常充電をしてから使用を開始します。そして充電が減ると当然充電をしてエネルギーを補充しますよね。
人間も同じです。1日活動して疲れたら就寝しなければなりません。必ずそれに見合う程度の睡眠をとらなければならないし、心身をリセットしなければならないのです。
このリセットを身体の状態にふさわしい質と量で埋め合わせるのが睡眠なのです。
ですからむやみに睡眠時間を削るのは、身体に負担をかけるのと同じことなのです。
自律神経が睡眠に影響
自分の意思とは関係なく、内臓の働きや代謝などの身体の機能をバランスよく調整する神経系を自律神経といいます。
自律神経は24時間休みなく働いていて、言うなれば「体内管制塔」ともいえるでしょう。
自律神経には、活動を促す「交感神経」と、休養を促す「副交感神経」の2つがあります。
自律神経のしくみ
図のように2つは活動と休息、それぞれを補う対照的な働きをします。ですから交感神経、副交感神経はよく「アクセルとブレーキ」の関係にたとえられます。
通常は日中が交感神経、夜間に副交感神経が優位になり、からだのはたらきをうまくコントロールしています。
中でも睡眠は副交感神経を優位にして、身体のバランスをリセットする大切な時間といえるでしょう。
しかし無理をしたり、不摂生をすると2つのバランスが崩れて身体に異変が起きてしまいます。
睡眠の上手なとりかた
「睡眠に上手なとりかたなんてあるの…」と不思議に思う方も多いでしょう。
実は睡眠時の体調や心身の状態は熟睡できるかどうかに大きくかかわってきます。
たとえばとてもお腹が空いたとしますよね…。そのとき取る食事はとても美味しく感じられるし、食も大いに進むことと思います。
睡眠もそれと一緒です。疲れてクタクタになってるときは睡眠の効果も高く、熟睡できる確率がグンと上がります!
要するに疲れていて眠りを欲している状態…。この状態こそが乾いた砂漠にスーッと水が染み込みように深い眠りに誘われる瞬間でもあるのです。
そのためには日中の活動で完全燃焼するのが理想です。つまり「今日一日やりきった!」という実感ですね。逆に不完全燃焼だったり、心配事が頭をよぎる場合はなかなか寝つけません。
その場合はゆっくりお風呂に浸かって、気持ちをゆったりさせるか、膝下までお湯に浸かる足浴などをして気持ちをやわらげるようにしましょう。
5つのメリット
疲労回復
誰もが実感できるのは何といっても疲労回復ですね。
日中身体を動かしたり、動き回ったり、デスクワークで集中したりすると全身クタクタになります。
当然、フルに活動すればそれを補う休息が必要になります。先ほども触れましたが、それに最もふさわしいリセット方法が睡眠なのです。
ですから多少の疲れや身体の不調は正しく眠れば必ず回復するようになっているのです。
ストレスが解消
睡眠の効果のひとつにストレス解消もあります。ストレスは睡眠によって余計な情報や記憶が整理され、心身の状態が修復されます。これによって、ストレスの蓄積が軽減されるのです。
ただしそれには条件があります。心配事やトラブルなどを抱えこんだまま休まないことですね。
安眠や熟睡のための絶対条件は不安や心配事を明日へ引きずらないことです。
心配事は放置しないで、その日のうちに解決するか、全解決が難しい場合はある程度の目処を立てて休むようにしましょう。
一定の目処をつけて休むと、翌日の目覚めはかなり快適です!
心にゆとりが生まれる
昔から「眠れば嫌なことも忘れるさ…」とよく言ったものです。
確かに睡眠が充分にとれると気分がいいし、心にゆとりが生まれます。
そして身体の状態がいいときは気持ちが前向きになります。
これに対して睡眠不足で疲労困憊のときは気持ちがふさがりやすいですし、判断力、思考力が著しく低下します。
「健全な精神は健全な身体に宿る」という言葉もあるように、気持ちが前向きになるためには、いつでも最高のパフォーマンスを発揮できる身体の状態に整えることが必要なのです。
そのためには睡眠が絶対に欠かせません。
しっかり睡眠をとって、心身に余分な負担をかけないように工夫をすることが旺盛な活動を支え、気分を一新する一番の近道なのです。
肥満を防ぐ
夜ふかし、不摂生の習慣は知らず知らずに肥満を招きます。
私たちの身体には、先ほどの自律神経のように日々の活動をスムーズにし、調整する超高性能システムが備わっています。
睡眠不足が習慣になると自律神経やホルモンバランスが崩れて代謝が悪くなります。そして、本来消費すべきエネルギーが消費されなくなるのです。
そのため代謝やエネルギー量の不足を補うための食事や間食が増え、 ゆくゆくは肥満に繋がっていくのです。
睡眠不足があたりまえになると眠気や集中力の低下で、日中の活動意欲が著しく減退します。当然、運動不足となり肥満体質になるでしょう。
しかし充分に睡眠がとれると、発想が前向きになり、自然と活動的になって代謝が良くなりますから、バランスのとれた体型を維持しやすくなるのです。
肌に潤いが出る
肌は眠っている間に日中受けたダメージを整え、修復します。
しかし睡眠不足だと、肌が休養できず、肌荒れやシミなどの原因を生み出しやすくなるのです。
深い眠りに入ったときに分泌されるのが成長ホルモンといいますが、この成長ホルモンが新陳代謝を促します。
このとき紫外線を浴びたり、外気にさらされた肌のダメージを修復していくのです。
この成長ホルモンとメラトニン(肌の酸化を強力に防ぐ)の働きによって、体内に必要な水分量が蓄積され、肌の再生、いわゆる「ターンオーバー」を促すようになるのです。
ターンオーバーは、質のいい眠りの習慣こそが原則です。
まとめ
睡眠は健康の基本であり、健康の第一歩 だということをなんとなく分かっていただけたのではないでしょうか?
ここで最後に睡眠の効果を3つに絞ってあげておきます。ぜひとも睡眠を見くびらないで、心身の健康をつかみとってくださいね!
睡眠の三大効果
②睡眠は自律神経のバランスを整えるのに効果大
③良質な睡眠は健康と美容のバロメーター