胃がん・大腸がんを防ぐ!40代で必ず受けたい内視鏡検査

医療技術の進歩はめざましく、かつて「難病」とされていた病気も、新しい薬や治療法によって克服できる時代になってきました。

一方で、医療にまつわる情報は玉石混交。誤解や偏見が先行して「怖いから」「つらそうだから」と検査を避けてしまう人も少なくありません。

特に、胃や大腸の内視鏡検査については「苦しい」「大げさな検査」といったイメージを抱いて、受けるのを先延ばしにしている方が多いのではないでしょうか。

しかし40代を過ぎると、私たちの体は健康の曲がり角にさしかかります。働き盛りだからこそ体を過信せず、自分の状態を知ることが何より大切です。

今回は、内視鏡検査の有効性と、40代から検査を受けるべき理由について整理してみましょう。

目次

検査を躊躇する主な理由

今や胃や大腸の状態を正しく把握するのに、最も正確で有効な手段として評価が定着しているのが胃腸の内視鏡検査です。

胃腸の内視鏡は胃カメラ・大腸カメラとしても知られています。内視鏡の進化はめざましいですね。

現在は数ミリ程度のカメラが主流になっていて、いずれカプセル内視鏡が開発されるのも時間の問題だろうと言われています。

しかしその驚きの進化と有効性とは別に、受ける側からすると胃カメラ、大腸カメラというと、「苦しい」、「辛い」というイメージや既成概念が強く根づいているようです……。

受けるのが躊躇するという人の理由は次の内容に集約されるでしょう。

内視鏡検査を受けない主な理由

  • 検査の準備(特に大腸)が面倒くさくて嫌だ
  • 検査が痛いかもという不安
  • 検査費、ピロリ菌除菌、ポリープ切除の費用が高いのではないかという心配
  • 病気が隠れているのではないかという不安、恐怖心
  • 以前、胃カメラを受けて苦しい思いをした

内視鏡検査で分かること・できること

40代は働き盛りであると同時に健康の曲がり角とも言われます。日々の仕事や生活に追われて、それどころじゃないという方も少なくないでしょう。

忙しいからこそ見落としがちな健康の大切さと身体が究極の資本であること……。ここでぜひ皆さんに考えていただきたいのが、胃や大腸の内視鏡検査を受けて、ご自分の身体の状態をしっかり確認していただくことです。

胃がん・大腸がんは日本人に多いがん

あらゆる種類のがんの中で、胃がんや大腸がんは全体の30パーセントを占めるといわれます。

発症年齢も大腸がんが30代中頃から、胃がんが40代からと比較的早いため、日頃の検査が大事なポイントになってきますね。

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

最近になって急激に患者が増え、死亡率が高くなっているのが大腸がんです。

上の図を見ると45歳から50歳あたりで患者の数が急速に増えているのが分かりますね。50歳からは近年の食生活の欧米化や肥満、運動不足、ストレス、免疫力の低下なども伴って、加速度的に増加しているようです……。

このグラフを見ると、男女ともに多いのが胃がん、大腸がんの死亡者数です。けれども幸いにも、この2つのがんは早期に発見して治療すれば、ほとんどが完治するがんなのです。

そのためには、がんの要因になりやすい胃と大腸の危険因子が検査で見つかったら、しっかり取り除くことが重要なのです。その危険因子こそが胃のピロリ菌であり、大腸のポリープなのです。

胃カメラ・大腸カメラとは?(バリウム検査との違い)

そこで登場するのが、胃カメラと大腸カメラの内視鏡検査です。

胃や大腸に、がんやがんの原因になるピロリ菌やポリープがあるかどうかを調べるには、胃・大腸の内視鏡検査を受けるのがいちばん早くて正確です。

よく比べられるのが、会社や自治体などの健康診断で一般的なバリウム検査です。

ヨーグルト味のようなバリウム(造影剤)を飲んで発泡剤で胃を膨らませた後に、X線を照射しながら身体の位置を変えて連続撮影する検査のことです。

胃のバリウム検査のためバリウムを服用し、寝台に患者さんがうつぶせになっているようすとX線撮影するための体位変換

以前からずっと思ってたのですが、このバリウム検査が結構つらいんですよね……。バリウム自体も身体の中で固まりやすく負担が多いのですが、それに加えて診察台の上で何度も体勢を変えるのが、これまた苦痛なんです…。

それに対して内視鏡検査は、直接目で見られない身体の内部を観察することを目的とした内視鏡(カメラ)を使った検査のことです。

口からカメラを挿入する胃の内視鏡検査

決定的に違うのがカメラの解像度です。

バリウム検査による胃がんの発見率が 0.08パーセントなのに対し、胃カメラによる発見率は約3倍の0.28パーセント。

人によっては、発見できる確率は100倍から1000倍くらいになるのではという人もいるくらいです……。精度が極めて高いうえ、胃カメラなら同時に食道がんの検査がカバーできるのもメリットです。

がんのリスクが出やすい40代を迎えたら、胃と大腸カメラの検査は必須と考えても良いかもしれません。

Ken

胃カメラ受けたことある?

Miki

20代のときね。カメラが口から食道に入るときつらかったなぁ……。

Ken

僕は胃カメラ受けてないけど、来月、大腸カメラ受ける予定だよ

Miki

えっ!すごい。大腸って下剤を飲んでお腹に何もない状態にならないといけないんでしょ。ようす教えてね!

ピロリ菌除菌やポリープ切除がその場で可能

内視鏡検査で胃のピロリ菌や大腸のポリープが見つかったら、その場でピロリ菌除菌、ポリープ切除が可能です。

検査の前にあらかじめピロリ菌除菌・ポリープ切除を希望することを伝えておけば、担当の先生がスムーズに処置してくださいます。

後日、改めて手術を受けたり、面倒な手続きをする必要はありません。これは肉体的、精神的負担が軽減されるため、大きなメリットと言えるのではないでしょうか!

それでは大腸のポリープを切除する場合は、どのような手順でなされるのか、おもな方法を見てみましょう。

切除方法① コールドポリペクトミー

ポリープに金属製のワイヤー(スネア)をかけて切除する方法です。

高周波電流の通電を行わないため、出血が少なく、消化管穿孔が起こりにくいのがメリットです。

切除方法② 内視鏡的大腸粘膜切除術(EMR)

大腸ポリープが大きい場合やがんを疑う場合に行われる方法です。ポリープに生理食塩水を注入して隆起させ、スネアで締めながら高周波電流で焼き切る方法です。

現在はこの2つがポリープ切除に使われるおもな方法です。

翌日から日常生活に戻れるケースが多い

よく大腸のポリープ切除を受けると、翌日は大事をとって休まないといけないと考える方も多いのではないでしょうか?

でも基本的にその必要はありません。無理さえしなければ、翌日から普通どおり出勤可能だし、食事をとっても問題ありません。

ただしそうは言うものの、いくつかの注意が必要です。それは主に食事面ですね。

ポリープ切除後の注意点

  • 切除当日はお粥、うどんなど消化の良い食事のみにする
  • 切除から2、3日は脂分、刺激の強い食べ物を避ける
  • 1週間はアルコールを控える
  • 3日間は力仕事、重労働、激しい運動を避ける

ポリープ切除後は、治療した部位から出血を起こす恐れがあります。決して無理をせず、何かあったら休みをとる心構えが必要でしょう。

保険適用で経済的な負担も軽減

大腸のポリープ切除は「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」という手術名称がついており、これは内科手術に相当します。

担当の先生から説明されるかもしれませんが、基本的にポリープ切除の際は医療保険などが適用される場合が多いです。

ご自分の加入している保険が手術給付金の支払い対象(大腸のポリープ切除術)になってるか、必ず確認してみましょう。

申請書類は病院の診療明細書と診療請求書または領収書の2つが必要です。無くさないように大切に保管してくださいね。

保険の申請方法と保証額は保険会社によって違います。必要書類に書き込んで保険会社に送付する場合と、ネット申請で可能な場合もあるでしょう。

胃のピロリ菌除菌については、「慢性胃炎」と診断されているという条件つきになりますが、この場合に保険の適用対象になります。

身体がリセットされる

大腸の内視鏡検査は大腸の中を空にして、粘膜をきれいにしなければ良い画像が得られません。

そのため大腸内視鏡検査の前には、腸内の便をすべて排出して、腸管洗浄液という薬を飲み、透明な水分だけの状態にして検査に臨みます。

大腸内視鏡検査直後の腸の状態は、今までの腸内環境がリセットされた状態のため、新たな腸内環境を作る絶好の機会と言えるでしょう。

腸に存在する免疫細胞は、全身の約70パーセントを占めると言われます。

腸内環境は免疫力と密接な関係があるため、腸内環境を良好に保つことで免疫力を上げることにもつながるのです。

検査を受ける時の注意点

いざ内視鏡の検査を受けたはいいが、思いがけないハプニングが起きてしまった。事前の準備が充分でなかった…という声もたまに耳にします。

せっかく検査を受けるのですから、検査を受けて本当に良かったといえるように実りあるものにしたいですよね…。ここでは検査時に気をつけたい項目をあげておきます。

信頼できる病院か確認

病院選びは何よりも大事です。

胃の内視鏡、大腸の内視鏡検査は検査の性格上、お医者さんの的確な判断力、デリケートな感性、スキルが必要とされる診察です。

良心的で親身になって診察してくれる病院・先生なのか否かはとても大切な問題です。曖昧に病院を選んでしまって後悔することがないようにしましょう!

病院選びは、かかりつけの病院もいいですが、ネットで検索して総合的に判断するのもいいかもしれません。

検索のポイントとしては病院のHPを閲覧する方法があります。そこに記載されている情報やブログが患者目線で分かりやすく説明されていることが重要です。できるだけ先生の人となりが伝わってくる文章があるかもチェックしましょう。

また、しっかりしたフォロー体制があるかどうかも確認しておきましょう。

Googleの口コミを参考にする場合は、星の数よりも、書き込まれた内容が施術に対する純粋な感謝や喜びの声が多いかどうかを確認したらいいでしょう。

また病院に赴いて先生の人柄に直接触れるのもいいでしょう。このときしっかり患者に向き合おうとしているのか、説明が充分に納得できるものか、こちらの事情もしっかり聞いてくれるのかなどを確認したらいいかもしれません。

大腸の内視鏡検査は1日が必要

胃カメラのほうは予約前日の夜は絶食が普通で、検査は半日を取れば充分かもしれません。

しかし、大腸カメラはそういうわけにもいかないでしょう。

下剤を飲んで準備をすることはもちろん、術後のさまざまな状況に対応する場合もあり得ます。あらかじめ時間を充分に確保しなければならないのです。

大腸内視鏡検査。 腸内の状態を大腸カメラとモニターで確認します。

大腸のポリープ切除は日帰り手術とも言われますが、帰るときはいつもどおりの動きは難しいいと思ったほうがいいですね!

またポリープ切除後は病院で休んでいくように指示されることも少なくありません。充分に時間をとって対応するように努めましょう。

車やバイク等での来院は避ける

意外にやってしまうのが、車を運転して来院することです。

特に大腸ポリープ切除後は絶対的に身体を安静にしなければなりません。車やバイク、自転車で来院するのは危険です。できるだけ送迎してもらうようにするか、電車で帰るようにしてください。

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まとめ

胃がん・大腸がんは日本人にとって発症率も死亡率も高い病気ですが、幸いなことに「早期発見・早期治療」で多くが完治できるがんです。

そのために役立つのが、胃と大腸の内視鏡検査。カメラの解像度は非常に高く、バリウム検査よりも正確に病変を見つけられます。

さらに、検査と同時にピロリ菌の除菌やポリープ切除まで対応できるのは大きなメリットです。40代は、がんのリスクが一気に高まる年代。

だからこそ「まだ大丈夫」と先延ばしせず、一度しっかりと検査を受けてみてください。自分の体を知り、安心を得ることは、これからの人生をより豊かにするための第一歩になるはずです。

内視鏡検査のメリット

  • 40代は胃がん、大腸がんに気をつけなければならない年代。胃と大腸の内視鏡検査は極力受けるようにする。
  • 胃の内視鏡検査では、がんの原因になりやすいピロリ菌を除菌できる。
  • 大腸の内視鏡検査では、がんの原因になるポリープ切除ができる。
  • 検査時と同時にピロリ菌除菌、ポリープ切除が可能。
  • 内視鏡はカメラの解像度が非常に優れていて、くまなく内部のようすを見ることができる。
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