ここ数年、新型コロナウィルスの影響で病院はパンク状態。体調を崩してもなかなか病院では診てもらえず、「自分の身体は自分で守る」という意識がいつのまにか定着してきているようです。
自分で健康を維持しようという意識の高まりの中で、最近特にクローズアップされてきてるのが「免疫力」を高めることではないでしょうか。
ここでは免疫とはいったい何なのか、免疫力を高めるにはどうしたらいいのかを見ていきたいと思います!
免疫とは?
身体を監視する検疫システム
実は私たちが知らない間に、体内では絶えずガン細胞や外から侵入した細菌、ウイルスなどが発生しています。
それを常に監視し撃退する体内の防御システムが免疫です。免疫が働くメカニズムは次のとおりです。
免疫が働くメカニズム
呼吸や食べ物を通じて、身体の中に細菌やウイルスなどの病原体が侵入しようとする。
目、鼻、口、腸管、膣、尿路などの粘膜組織が、病原体から守るために外敵を排除する防御システムが働く。
ですから免疫機能が弱まると、当然のように外敵を排除する防御システムも甘くなってしまうのです……。
次に体内に病原体が侵入したら、免疫細胞が直ちに相手を捕えて攻撃したり、性質を見極めて攻撃して防御するようになります。
免疫力は健康を維持するための抵抗力、基礎体力の強さとも言えるでしょう。
健康体を保つ3つの柱
私たちの身体は自律神経、内分泌、免疫の3つがそれぞれ密接に影響しあいながら、バランスを保つことで健康を維持しているのです。
健康を維持するための3つの柱と働き
おもな働き | |
免疫 | 体内の防御システム | 細菌やウィルスなどの侵入を防ぐ
自律神経 | 活動モードの交感神経とお休みモードの副交感神経のバランスによって身体の機能を維持 |
内分泌 | 排出管を通さず、内分泌腺などのホルモンを作って分泌する臓器全般の働き |
免疫を高める生活
免疫力を高めるためには最低限のルールがあります。以下の内容は絶対に外せない大切なポイントといえるかもしれません。
メリハリのある生活
メリハリのある生活はとても大切です。そのためにも活動する時間と休む時間はハッキリと区別をつけなければなりません。単調な生活も避けるべきでしょう。
それは交感神経(活動モード)と副交感神経(お休みモード)のスイッチの切り替えをスムーズにすることで、自律神経が整えられるようになるからです。「活動したら休む」、「休んだら活動する」が基本ですね。
休んでいるのか動いているのかよくわからないとか、休んでいるけど他のこともやっているとか……。逆に休日は昼頃まで眠るとか、毎晩夜更かしをするのはNGです。
新陳代謝を良くする
新陳代謝は身体に溜まった老廃物や毒素を排出して、必要な栄養素を取り込むことです。古い細胞から新しい細胞に生まれ変わるため、身体が活性化してスッキリします。
新陳代謝を円滑にする一番簡単な方法が意識して水を飲むことでしょう。水分摂取と身体を動かすのをセットとして汗として排出するのが最も理想的ですね。
代謝がよくなるのはもちろんのこと、継続することで免疫力がアップします。
また入浴などで身体をしっかり温めて、血行を良くしたり、汗をかくことも必要でしょう。
良質な睡眠
睡眠時間と睡眠の質は免疫力アップの基本条件といってもいいでしょう!
はっきりしているのが、睡眠は眠るだけの時間ではないことです。身体の機能を修復してリセットするための大事な時間なのです。
むやみに睡眠に7時間や8時間を割いているわけではないですよね。必要だからこそ、それだけの時間を割いているし、むしろ時間を割かなければ日々の生活や行動にも大きく影響するからです。
階段を積極的に利用
歩くことは有酸素運動になり、免疫力を高めます。さらに運動効果を高めるには階段を積極的に利用するのが一番でしょう!
階段を使うと足腰、お尻(大臀筋や大腿四頭筋など)にも自然な負荷がかかることで、下半身の筋トレのような効果も得られます。
年齢とともに足腰が弱りやすくなるのを考えると、日々の運動として無理のないペースで階段を使うことを考えてもいいかもしれませんね。
免疫力を高める食べ物
免疫力を高めるためには栄養をとることは欠かせません。ここではそれにふさわしいと思われる食材を選んでみました。
トマト
トマトの成分リコピンは身体のサビつきを防ぐ抗酸化作用を非常に多く含んだ野菜です。
心疾患や血流障害を防いだり、老化防止やガンの予防にも効果的なため、免疫力を高める食材として大変重宝します。
納豆
「畑の肉」とも呼ばれ、このところずっと食卓には欠かせなくなってきている納豆。
納豆はビタミン類も豊富に含んでいます。特にビタミンB2は、細菌やウィルスが身体に侵入するのを防ぐ大切な栄養素です。
ネバネバの糸はナットウキナーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素。血液が固まると血栓症を引き起こすことがありますが、ナットウキナーゼはそれを分解する作用があることでも知られています。
ブロッコリー
ブロッコリーには多くのビタミンが含まれています。特にビタミンCは白血球の働き(細菌などの侵入を防ぐ)を活性化させて免疫力を高めます。
皮膚や粘膜の機能を整えるβ-カロテンや貧血を防ぐ鉄分も多く含まれていて、非常に栄養価が高い野菜と言ってもさしつかえありません。
また食物繊維が豊富(野菜の中でも最多)なことでも知られていますね。 腸内環境を改善してくれる働きがあり、おなかの調子をスムーズに整えてくれます。
卵
卵は非常に栄養価の高い食べ物です。
力が出ないときに、卵を食べて元気になったという人は少なくないのではないでしょうか? それは卵がアミノ酸バランスに優れた良質なたんぱく質の食品だからです。
免疫力を高める栄養素も多く、「理想的な栄養食」と呼ばれるのも分かるような気がします。
必須アミノ酸を含むたんぱく質だけでなく、リン脂質レシチン、ビタミンB2、B6 、亜鉛なども皮膚や粘膜の免疫細胞を強化してウイルスや細菌が侵入するのを防ぐ大きな力となっていると言えるでしょう。
海藻類
ワカメやメカブ、昆布などの特徴でもあるヌルヌル、ネバネバ成分は「フコイダン」と呼ばれています。
実はこのフコイダンには途轍もない免疫力を高める効果があるようですね。
フコイダンにはマクロファージやNK細胞などの免疫細胞があり、これらの細胞は体内に侵入した細菌などの異物を食べて消化・殺菌することで、細菌感染を防ぐ効果があるのです。
免疫力を高める飲み物
飲み物は食べ物に比べて、空いている時間や移動時間にも摂れる手軽さ、便利さが最大のメリットではないでしょうか。
コーヒー
コーヒーの香りにはリラックス効果があり、副交感神経の働きを高め、深い安らぎのひとときを与えてくれます。
またコーヒーの成分に豊富に含まれている「クロロゲン酸」というポリフェノールは抗酸化作用のある物質がおもな成分です。抗酸化作用はひとことでいえば身体を錆びつかせないということ。
つまり老化を防ぎ、アンチエイジング効果も期待できるのです。
ルイボスティー
ルイボスティーには「ポリフェノール」が豊富に含まれています。
ポリフェノールは抗酸化作用が非常に高いため、免疫力を高めて新陳代謝を促したり、腸内環境を整えたり、アンチエイジング効果も期待できます。
また血管のつまりをやわらげ、毛細血管を増やす効果があるといわれています。ノンカフェインなのであらゆる年齢層の人にとって気軽に飲めるのもうれしいポイント。
ホットココア
温かなココアを飲んだときのまったりする感覚、芯から温まる心地よさは言葉では言い表わせませんね……。
ココアはチョコレートと同じカカオ豆が原料です。 身体を満たす甘さに癒やされる人も多いことでしょう。
カカオマスポリフェノール(カカオ豆の成分)は抗酸化力が強く、生活習慣病の予防、ストレス防止、リラックス効果、血行促進などが期待できます。
トマトジュース
トマトジュースは一般のトマト以上にリコピンが豊富に含まれていることが知られています。
その量は、生のトマトの2倍ほどといわれており、仮にトマトが摂取できないときもトマトジュースを飲めば充分でしょう。リコピンの高い抗酸化作用が身体にうれしい効果をもたらすのです。
またカリウムや鉄の含有量が多いのも魅力ですね。
アロマが免疫力を高める
ここ10年ほどですっかり市民権を得たアロマセラピー。アロマセラピーはさまざまな研究報告などで免疫力を高めるデータが確認されています。
今後はリラクゼーション、医療、介護など社会生活に深く根づくようになるのかもしれませんね。
香りは瞬時に伝わる
香りは人間の五感のうちで、ひとつだけダイレクトに脳に伝わり、心と身体に作用します。
スーッと瞬間的に伝わるのも香りの特徴です。そのスピードは無条件の速さで視覚や味覚とは比べものになりません。見てから物事を整理し判断する視覚とは別次元と言っていいでしょう。
香りの伝わりかた
鼻の粘膜から嗅神経〜嗅球へ
人間の喜怒哀楽などの感情をコントロールする大脳辺縁系に伝わる
ホルモンバランスを調整する→神経系へ
心地よい香りを実感する
アロマセラピーは植物の香りの特性を最大限に活用した自然療法です。一瞬にして心身を包み込むエッセンシャルオイルの香りこそ、不安やストレス、疾病などに優しく作用し、免疫力を高めるといってもいいでしょう。
心身へのリラックス効果
リラックス効果が高いのも免疫力を高める大きな要因の一つです。
ストレスを受けたり、緊張状態が続くと活動モードのスイッチが入ったままになりやすく、自律神経が乱れる原因になってしまいます。しかしアロマの香りは心身に馴染みやすく、リラックス状態をスムーズにつくりあげます。
細菌やウイルスなどの抗菌・殺菌作用
細菌やカビなどの増殖を抑える作用があり、皮膚の炎症、アレルギーなどに効果を発揮することもしばしば。
オイルによっては高い抗菌、殺菌作用があるため、アロマディフューザーを使って霧で空間に漂わせるのもいいでしょう。
アロマで免疫力を高めるには
芳香浴法
エッセンシャルオイルの魅力を一番簡単に楽しめる方法です。
ティッシュペーパーまたはハンカチなどに1、2滴オイルを垂らしたり、ティーカップなどにお湯を張り2、3滴垂らしてテーブルなどに置いてみます。アロマの穏やかな香りがあたりを包み込むことでしょう。
スプレーボトルに入れて使う
スプレーボトル(遮光性のあるガラス容器、またはオイル対応のプラスチック容器)に入れてスプレー状で使うのもオススメです。※必ず無水エタノールと水で希釈してください。
自宅用、外出用として手軽に使えるのがメリットです。肌にスプレーしたり、お部屋でルームスプレーとして使うのもよいでしょう。
免疫力を高めるオイル
ラベンダー
万能オイルとして人気のラベンダーは、フルーティーでさわやかな香りが印象的です。
ラベンダーの主成分リナロールには抗菌作用があり、火傷や炎症にも作用します。高いリラックス効果があるのも大きな魅力ですね。ストレスを軽減して心身のバランスをスムーズに整えてくれるでしょう。気持ちが沈みがちのとき、不安でいっぱいのとき、神経過敏なとき…。優しく作用してあなたの心を癒やしてくれるかもしれません。
ティートリー
風邪や花粉症、ニキビなどのアレルギーに高い効果を発揮する精油です。
スーッと爽やかな香りは心身に深く浸透してリラックス効果を高めます。風邪や感染症の免疫力アップの効果が期待できるでしょう。過剰に働くようになった免疫力のバランスを整える作用もあり、苦しいアレルギーの症状を鎮めてくれるのもうれしいポイント。
まとめ
いかがだったでしょうか?
長いコロナ自粛生活が続き、ようやくマスクから解放されて以前の日常が戻りつつある今、これまで耐えに耐えてきた身体が一気に悲鳴をあげ始めたという方は意外と多いのではないでしょうか。実は私もその一人です……。
3月にインフルに罹り、4月にコロナに罹り、5月には持病が悪化する……という散々な日々が続いてしまいました。でもよく考えると無理をしていたり、大きなストレスを抱えていたりと、思いあたることはありましたね。
これを機に身体のこと、免疫力を高めることを改めて自己チェックする想いで書かせていただきました。皆様にとって何か参考になれば幸いです!