クラシック音楽はとかく、「とっつきにくい」「難しそう」「理屈っぽいんじゃないの……」という簡単な理由で敬遠されやすい音楽ジャンルです。
しかしこれほど奥が深く、聴けば聴くほど味わいが増す魅力的な音楽ジャンルは他にはないのではないでしょうか……。
海外では何万人も集めてクラシックの野外コンサートが開催されたりしますよね。日本ではいまだかつてそのような話は聞いたことがないので羨ましい限りですが、いつかは生活に馴染む日が来て欲しいものです。
クラシック音楽との出会いも最初が肝心ですよね。今回は「何から入っていったらいいの」と思われる方にふさわしいと思われる情報を集めてみました。
定額制音楽配信サービス
どんな曲か聴いてみたいときに最適
現在音楽を聴くスタイルとして最もポピュラーなのが音楽配信サービスを利用することでしょう。
音楽配信サービスはデバイスにMP3などの音楽ファイルが取り込まれていなくても問題ありません。ましてやCDをプレイヤーにセットして聴くという手間が一切ないのです。
すべては音楽配信サービス会社が提供する膨大なコレクションの音楽データを無料、あるいは月額契約で自由に聴ける、聴き放題の魅力的なサービスなのです。
最大のメリットは「どんな曲なのか聴いてみたいけど聴く手段がない…」、そんなときにピッタリのサービスといえるでしょう。音楽配信サービスでは心ゆくまで自分のフィーリングにあった曲を探せるし、見つかったらその曲に没頭できるのが大きなメリットです!
昔はそもそもCDを購入しないと音楽を聴くことができなかったため、音楽を聴きたいときはダメ元で購入したのを思い出しますよね……。
作曲家・キーワードなどで検索
それでは「どのように検索して目当ての曲に行き着いたらいいの」という、ごもっともな疑問も出てくるでしょう……。クラシック音楽と言ってもカテゴリーや領域が広く、最初はきっと戸惑うかもしれませんね。
ここではとりえあずスマホのSpotify画面を参考に検索の手順を簡単に説明していきましょう。大別すると作曲家別の検索とキーワード検索が探しやすいかもしれません。
作曲家で検索
①TOP画面でクラシックをタップ⬇
②クラシック画面で作曲家をタップ⬇
③作曲家一覧画面で聴きたい作曲家をタップ⬇
④作曲家にちなんだ曲目が表示される⬇
キーワード検索
①検索窓に聴きたい曲を直接入力⬇
②曲目に該当する楽曲やアルバムが表示される⬇
③全曲を堪能したい場合はアルバムを選択⬇
オススメの音楽配信サービス
Spotify
2006年創業のスウェーデン発・音楽配信サービスの草分け的存在です。
プレミアム会員になると無制限で曲をブックマークできたり、ダウンロードが可能です。
シャッフル再生のみで曲のスキップができなかったり、30分ごとに広告が入るといった制約こそありますが、無料でこれだけ音楽を楽しめるのはおそらく「Spotify」だけでしょう。
クラシック音楽のカテゴリーも充実していて、交響曲、管弦楽、協奏曲、ピアノ曲、オペラの名盤など……、定額制の音楽配信サービスを初めて利用する方にもオススメです。
サービス名 | Spotify |
サービス開始年 | 2008年 日本:2016年 |
無料期間 | 3か月 |
月額料金 | ●Standard:980円 ●Duo:1280円(2名) ●Family:1580円(6名) ●Student:480円(学生) |
利用デバイス | スマホ、タブレット、PC |
Webサイト | spotify.com |
Amazon Music Prime
アメリカ・シアトルを本拠とするIT通販の最大手Amazonが展開する音楽配信サービスです。
プライム会員であれば追加料金なしで利用ができるのが大きなメリットでしょう。「Amazonプライム・ビデオ」利用者なら、「Amazon Music Prime」も使えるということですよね。
「できるだけたくさんの曲を聴いてみたい」というクラシック初心者の方ならこれで充分かもしれません。
2019年より、最大192kHz/24bitの高音質ストリーミング配信「Amazon Music HD」が開始されました。
個人プランやファミリープランに月額1,000円追加することでロスレス音源とハイレゾ音源のストリーミングも可能です。高音質で聴きたい方は検討してもいいでしょう。
サービス名 | Amazon Music Prime |
サービス開始年 | 2008年 |
無料期間 | 30日、キャンペーンあり |
月額料金 | ●個人:1,080円 ●プライム会員:無料 ●ファミリー:1680円 ●学生:580円 |
利用デバイス | スマホ、タブレット、PC |
Webサイト | www.amazon.com/music/ |
Apple Music
アップルが2015年に開始した音楽配信サービスです。
かつてはデジタルミュージックプレーヤーのiPodで一世を風靡した同社ですが、Spotifyなどの音楽配信サービスに押されるような形でサービス開始となりました。
Appleストアで楽曲購入もでき、聴き放題の楽曲と同じように垣根がなく楽しめるのもメリットです。
これまでiPodやiPhoneにCDを同期して音楽を聴いてきた方にとっては、サービスを切り替える必要はありません。
iTunesに取り込んだ曲も同じようにコレクションされていることにお気づきになるでしょう。それらの楽曲もミュージックアプリで同じように聴けます。
サービス名 | Apple Music |
サービス開始年 | 2015年 |
無料期間 | 30日 |
月額料金 | ●個人:1,080円 ●ファミリー:1680円 ●学生:580円 |
利用デバイス | スマホ、タブレット、PC |
Webサイト | apple.com/apple-music |
AWA
サイバーエージェントとエイベックス・デジタルの共同出資で設立された音楽配信サービス。
新興勢力ですが、クラシック音楽の収録曲数が多く、それなりの満足感を与えてくれるでしょう。
サービス名 | AWA |
サービス開始年 | 2015年 |
無料期間 | 30日 |
月額料金 | ●Standard:980円 ●学割:480円 |
利用デバイス | スマホ、タブレット、PC |
Webサイト | https://awa.fm/ |
ナクソス・ミュージック・ライブラリー
ナクソス・ミュージック・ライブラリーはクラシック廉価版レーベルとしてお馴染みナクソスの定額制音楽配信サービスです。
他のサービスとは明らかに毛色が違いますが、メリットもたくさんあります。
他の音楽配信サービスと決定的に違うのはクラシック音楽だけに特化していることです。
特に魅力的なのが他のサービスではカバーされていない作曲家の隠れた名曲・名盤が、かなりの割合でカバーされていることですね。忘れていた名曲、普段耳にしない小曲、作品が聴けるのは大きな魅力です。
サービス名 | ナクソス・ミュージック・ライブラリー |
サービス開始年 | 2008年 |
無料期間 | 30日 |
月額料金 | ●1850円(税込2035円) |
利用デバイス | スマホ、タブレット、PC |
Webサイト | https://ml.naxos.jp/ |
※各サービスの料金プランは必ずHPで最新の情報をご確認ください。
イベント・コンサート
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO
2000年からゴールデンウィーク期間中に東京有楽町の国際フォーラムをメイン会場に開催されてきた音楽イベント。毎年さまざまな作曲家やジャンルをテーマにプログラムが組まれます。
コロナ禍で2020年から2022年までイベントが中止という寂しい状況になりましたが、2023年にイベント名を「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」に変えて4年ぶりに戻ってきました!
会場の国際フォーラムでは同時並行的に約45分間のコンサートが朝から夜まで繰り広げられます。
「一流の演奏を気軽に楽しんでいただき、クラシック音楽の未来を支える新しい聴衆を開拓したい」という創設者ルネ・マルタンの意向により、コンサート料は700円から3000円という驚きの低価格が実現しているのが何よりも驚き!
もしかしたらクラシックとの忘れられない出会いの3日間になるかもしれませんね……。
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 6つの魅力
- 毎年異なる新鮮なテーマ展開
- 1つの公演約45分〜。朝から晩までいくつものプログラムをハシゴできる。
- 国内外の一流の演奏を低料金で楽しめる。
- 多彩な無料イベントを開催
- 赤ちゃんからクラシック通までピクニック気分で楽しめる
- 街全体が音楽であふれ「お祭り」ムード一色に(公式サイトより)
Instagram ラ・フォル・ジュルネ TOKYO
東京・春・音楽祭
タイトルのとおり「東京・春・音楽祭」は、桜が咲き誇る上野を舞台に春の訪れを音楽で祝う、2005年に始まった国内最大級のクラシック音楽イベントです。
毎年3月中旬頃から4月下旬にかけて東京文化会館、東京芸術大学などの上野公園界隈のホールなどで開催されます。
オペラやオーケストラ、国内外一流アーティストによる室内楽をはじめとするコンサートはもちろん、街角で気軽に楽しめる音楽との出会いの場まで、様々な音楽で東京の春の訪れを彩ることでしょう。
東京・春・音楽祭 5つの魅力
- 上野公演で桜を見ながら音楽を楽しめる
- 本格的なオペラ公演がある
- 国内外一流アーティストの演奏
- 上野公園内の美術館、博物館を鑑賞しながら音楽を楽しめる
- 約1か月におよぶ長期開催
Instagram 東京・春・音楽祭
ランチタイムコンサート
全国各地のコンサートホールでお昼の憩いのひとときを想定して開催されるコンサートイベント。
無料で開放しているコンサートホールも多く、公演時間も1時間弱程度で気軽に聴けます。クラシック音楽との出会いのひとときとなるような貴重な時間になるかもしれませんね。
リクライニング・コンサート
東京・富ヶ谷のHakuju Hallで定期的に開催されるコンサートイベント。これまでにない新しい鑑賞のスタイルを提供しています。
世界で初めてコンサートホールにリクライニングシートを導入したことで話題になりました。
良質な響きと斬新なデザインが溶け合った300席の小ホールはひとときの潤いと癒やしの時間を届けてくれるでしょう。
約1時間ほどの演奏時間を、お好みの態勢でリラックスしながら聴くことができるのは何よりも魅力ですね……。
Instagram Hakuju Hall
施設・ライブラリー
東京文化会館音楽資料室
東京上野公園の入口に位置する音楽の殿堂。
国内のクラシックのコンサートホールとしては歴史が古く、ベームやカラヤン、バーンスタインなどの巨匠たちによる数々の名演奏を生んだ舞台となってきました。
音楽資料室はその4階にある、国内最大級の音楽ライブラリー。
CD化されていない音源やLP、DVDが視聴できるのが大変貴重です。LP 39,000枚、CD 34,000枚と国内最大級の保有枚数があることや楽譜や雑誌も多数保存されているのも大きな特徴でしょう。
利用方法は身分証明書(健康保険証、免許証など)を持参すると、受付で2年間有効の入室証が発行されます。
ライブビューイング
METライブビューイング
2006年からニューヨークのメトロポリタンオペラで世界最高峰のオペラを、「METライブビューイング」と題して日本各地の映画館で上映しています。
「METライブビューイング」の最大の特徴はあらゆる角度から撮影したデジタル映像と5.1chサラウンドによる迫力の音響システムで、実際に歌劇場にいるかのような臨場感たっぷりのオペラ体験ができることですよね。
休憩時間の出演アーティストやスタッフへのインタビューなどは実演にはない貴重な体験かもしれません!
Instagram METライブビューイング
まとめ
いかがでしたでしょうか? クラシック音楽は人の心を癒やし、忘れかけていた記憶を呼び覚ます効果もあるといわれています。
きっと上記で紹介した内容以外にもクラシック音楽に馴染むきっかけはあるかもしれませんね。何よりも良質な音楽との出会いこそが人生に大きな転機をもたらすきっかけになることでしょう……。