デザインで一番目を引くもの。
それは何といっても写真でしょう。 「300字の説明より、1枚のインパクトのある写真」というのはよく言われることです。
写真がイメージに添わなかったり、さえないとデザインもイマイチになってしまう……。それだけは避けたいのがクリエイターの皆さんの共通したお気持ちでしょう。
今回はコストパフォーマンスに優れたフリー(原則的に無料)で使える素材を扱っているサイトをご紹介します。ご一緒にどうぞ!
フリー素材を使うメリット
無料のフリー素材サイトを使うとどんなメリットがあるのでしょうか? さっそく見ていきましょう。
気軽に使える
フリー画像を使う最大のメリットは、何と言っても気軽に使えるところでしょう。
特に制作費やサイトの運営経費などを気にする必要がない無料素材サイトの使用は、気に入った画像さえ見つかればちょっとしたアドバンテージになるかもしれませんね。
作業時間を短縮できる
Webサイトやブログの趣旨のイメージにあう写真を撮影するとなると、一般的に大変な手間や費用がかかります。
また撮影したはいいけれど、いざ使ってみると制作のイメージとあわなかったり、満足できなかったりすることが往々にしてあるものです。一人で間に合わせようとすると、満足できる画像を準備するだけでもエネルギーを消耗することになりかねません。
そんなときに便利なのがフリー画像の素材サイトですね。自分だけの視点から少し角度を変えたさまざまな素材を見れば、「ああこういう視点もあるんだなあ」と新鮮な感覚で作業を進められるでしょう。
クオリティを上げられる
デザインをする人の感性やセンスにもよりますが、適材適所にイメージにピッタリの画像を配置できれば、それだけでサイトや制作物のクオリティを引き上げることが可能でしょう。
特に、制作のポリシーや、コンセプトがはっきりしている場合、無料で使えるフリー素材のサイトの存在はありがたいものです。
フリー素材を使うデメリット
無料のフリー素材サイトを利用するとき、メリットもありますが、それ以上にデメリットや盲点、注意すべきこともあります。見ていきましょう。
同じ画像に出くわす確率が高い
フリー画像の宿命ともいえるのが、Webサイトやブログ、パンフレットなどの制作物で同じ画像に出くわす確率が高いことでしょう。これはフリー画像だけでなく、都度購入やサブスク制のストックフォトでもよくある現象ですね。
一般的に人の考える傾向やパターンは、似通っているものです。使いやすい画像は使われる頻度も高く、同じ画像と対面する可能性が高いことを意識の片隅に置かなければなりません。
仮に画像の使われ方が良いイメージでない場合、同じようにイメージが低下してしまう可能性も否定できないでしょう。
著作権侵害を起こしやすい
無料のフリー素材だからといってどのように使ってもいいわけではありません。注意すべきは、素材そのものの販売や素材を転用した利用ですね。
つまりほとんどのサイトでは、素材そのものを商品として利用することは全面的に禁止しているのです。
たとえば画像そのものを商品として販売する再販や、ポストカード、マグカップ、Tシャツなどに転用して販売する二次利用がこれにあたります。
また、色調を変えたり、部分的なトリミング加工が禁止されている場合もあります。 不安な場合はサイトの利用規約をよく確認しておいたほうが賢明でしょう。
人物写真の使い方は要注意
フリー素材の中でも人物写真は慎重に扱うべきでしょう。通常フリー素材の人物画像は肖像権使用許諾( モデルリリース )を確認済みの画像の場合がほとんどです。
ただし著作権フリー、使用許諾は下りてるとはいっても、モデルの肖像権をしっかり尊重し、守っていかなければなりません。
特に問題なのは、被写体モデルの名誉を傷つけたり、イメージを損なってしまうような使い方です。肖像権侵害に抵触して、後々大きな問題になってしまう恐れもありますので、絶対にやめましょう。
おすすめフリー画像素材サイト
次に挙げるのは、無料のフリー素材を扱っている利用者の多いサイトです。幅広いカテゴリーを取り揃えていて、クオリティが高いのが特徴といえるでしょう。
Pexels
Pexelsは海外発の素材サイトです。掲載されているすべての画像は無料で使用できる上、クレジット表記は必要ありません。
比較的イメージ的なアプローチの写真が多く、ストーリー性が高いサイトの構築にも相性がいいでしょう。
動画も多数揃っていて、ブログやSNSのアイキャッチ、ショート動画の制作でも重宝するでしょう。
Adobe StocK
すべての素材が商用利用可能で、高品質なイラストから選べるアドビのストックサービス。カテゴリーも実に多岐にわたっていて、使いやすくアピール性の高い写真が豊富です!
無料素材も、さまざまなカテゴリーの画像やイラスト(ベクター形式、ai)、ロゴ、パターンなど、かなりの点数が用意されています。会員登録をすれば自由に利用できるのが魅力です。(※利用制限あり)
クリエイティブ環境を追求するアドビのサービスのため、PhotoshopやIllustrator、Indesignなどのソフトや、一般のデザインアプリにスムーズに連携しやすいのも大きな特徴でしょう。
Unsplash
海外発のロイヤリティフリーの画像サイトです。基本的に会員登録は不要です。ダウンロードの回数制限や写真のサイズ制限もありません。
写真家のプロフィールから写真を選択することができます。フォローやお気に入り機能を使うと、個々に応じたパーソナルな画像ボードとしてストックもできます。
ブログやWebサイト、印刷物などでの利用価値は高いでしょう。商用利用は無料ですが、 販売や再販を目的とした利用はできないのでご注意ください。
写真AC
写真ACは風景、人物、背景、日常のシーンなどで想定されるあらゆる画像を収録したサイトです。このサイトで検索をかけると、ほとんどの画像がヒットするくらい多種多様な素材を抱えているのが魅力です。
会員登録後、ログインすると約900万点以上のフリー写真素材の中から、無料画像をダウンロードできる(※利用制限あり)ようになります。
ぱくたそ
ちょっと変わったシーンや、思わず笑ってしまうパロディ写真なども取り扱うユニークなサイト。すでに10年以上の歴史を持つ、ファンに愛されているサイトです。
ユーザーの気持ちを代弁するような高品質で高解像度の写真を取り揃えていて、使い勝手も非常に高いですね。企画、撮影カメラマン、モデルリリース、サイト制作などをトータルで運営しているため、独自色を出しやすいのも魅力かもしれません。
パブリックドメイン
パブリックドメインとは、写真・絵画・小説などの作品の著作権がなくなった、あるいは著作権を放棄した状態のことです。
つまり、無断では使えなかった作品、創作物が、著作権に関係なく誰でも自由に使える状態になったものを指していいます。
パブリックドメインも、もともとは著作権により保護されていて、第三者が勝手に使用することは法律で禁止されていたものです。
著作権による作品の保護期間は決まっています。基本的には、作品の著作者の没後70年までです。
また、そもそも著作者本人が著作権を放棄する場合もあります。この場合もパブリックドメインとして誰でも自由に利用できます。
おすすめパブリックドメイン
絵画や歴史的資料、図などを使って説明する場合などはパブリックドメインの画像がとても役に立ちます。
特に以下のサイトは、有用な写真や資料が豊富に揃う公共の財産的な価値を持つサイトといってもいいでしょう。
Artvee
西洋絵画の巨匠たちが描いた絵画や、本の挿絵、ポスターなど、著作権フリーのさまざまな画像が無料で閲覧・ダウンロードできます。クレジット表記なしで商用も加工も自由にできます。
モネやゴッホ、ルーベンスなどの名画はもちろん、ふだんあまりお目にかかれない貴重な挿絵や資料が高画質でダウンロードできるのもうれしい限り。植物画や歴史的なイラストなどの貴重な画像も満載です。
Artveeには次のカテゴリーが用意されています。
Artveeのカテゴリー (2024年8月現在)
- Abstract(抽象絵画)
- Animals(動物画)
- Botanical(植物画)
- Figurative(具象絵画)
- Illustration(イラストレーション)
- Landscape(風景画)
- Mythologys(神話)
- Posters(ポスター)
- Religion(宗教画)
- Still Life(静物画)
- Drawings(素描)
- Asian art(アジア美術)
メトロポリタン美術館
メトロポリタン美術館では2017年2月より、パブリック・ドメインとなった作品画像を、誰もが無料で利用できるようになりました。
著作権を放棄した「CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)」の表記がされている画像を自由にダウンロードできます。また、クレジット表記も不要となりました。現在はその総数、約40万点以上に増えています。
ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
『ナショナル・ギャラリー・オブ・アート』はアメリカ・ワシントンDCにある国立美術館で、ヨーロッパの美術品が多く展示されています。
研究や教育、個人の専門性の充実を支援するために、画像データをできるだけ多くの人が利用できるように融通されています。 美術館が所蔵する13万点以上の作品とアーティストの情報が詳細に記載されています。
オープンアクセス画像(Open Access Images)の項目をクリックすると、5万点以上の美術品の閲覧と、パブリックドメインの作品のダウンロードが可能です。
NYPL Digital Collections
ニューヨーク公立図書館のデジタルライブラリー(NYPL Digital Collections)は、18万点以上のデジタルコレクションを無料でダウンロードできます。
歴史的な写真・原稿・地図・写真・楽譜・リトグラフ・ポストカードなどの画像が高解像度でアップされているのがいいですね! すべてパブリックドメインのため、誰でも制限なしで使用することができます。
rawpixel
rawpixelはデザインテンプレートとして利用価値の高いサイトです。切り抜き画像やベクターなど、ストレスなく使える画像、素材を網羅するだけでなく、さまざまな用途に対応した魅力的なサイトです。
サイトは無料の画像も扱っていますが、基本的にはロイヤリティフリーの有料サイトといえるかもしれません。その中で異彩を放っているのが、世界の名画を扱ったパブリックドメインの豊富なラインナップでしょう。
それぞれの画家、作家の解説が非常に丁寧に扱われていて、キャプションとしての有用性も高いといえますね。使いやすさを意識しているのが充分に伝わってきます。
Old Book Illustration
「Old Book Illustrations」は、18〜20世紀に出版された本や雑誌で公開された挿絵が作家別、書籍名、テクニックなどのカテゴリーでデータベース化したサイトです。
ピーターラビットの生みの親として有名なイギリスの絵本作家ポター。「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の挿絵が魅力的なテニエル……。他にもピアズリー、ラッカムなど、名作・名著の美しい挿絵がたくさん公開されています。しかもどれも高解像度で収録されているのがうれしい限り。
ダウンロードは簡単で登録も不要です。画像のページ上部、「All Resolutions」から解像度をクリックするとお好みのサイズでダウンロードできます。
ダウンロードの手順
トップページから閲覧したいカテゴリーを選択。
作家名が表示されて、作品一覧が開く。お目当ての絵をここで選択。
画像を開くと、上に画像のサイズが表示されるので好みの大きさを選択する。大きさごとに表示されダウンロードができる。
Wikimedia Commons
Wikimedia Commons(ウィキメディア・コモンズ)は2004年9月7日に始動し、現在1億以上の画像、動画、音声ファイルがあります。
現座のところ世界最大級のパブリックドメイン画像の供給元といえるでしょう。ほとんどの画像が自由に使えますが、中には制限が設けられているものもあります。
Wikimedia Commonsでは個々の画像に対するライセンス供与の正確さは保証されていません。必ずその画像の著作権状態を何重にもチェックするようにしなければならないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
無料の素材サイトを上手に利用できたら、創作の幅はきっと大きく広がることでしょう。またアイディアを育む大きなヒントとなるかもしれません。
著作権には注意を払いながらも、是非ともあなたのクリエイティブ環境を充実させるために役立ててみてください!