かつては病気になってから治療するのが一般的な診療スタイルでした。しかし現在は病気になってから病院を受診する対処医療より、定期的な検査を受ける予防医療が大きく注目されるようになっています。
中でも予防医療を最もコンパクトかつ手軽にしたものが血液検査です。そこで血液検査がなぜ重要なのかをさまざまな視点から見てまいりましょう。
対処医療から予防医療へ
症状が出てからでは遅い
最近「予防医療」という言葉をよく耳にするようになりました。「予防医療」とは、あらかじめ病気の原因になる要素を取り除き、病気にかかるのを未然に防ぐ医療のことです。
多くの人が、症状がきつくなってからようやく病院を受診するのが多い現状です。しかし病気になってから治療を始めると、すべての対処が後手後手になりかねません。
「これくらいだったら大丈夫だろう…」という自分なりの判断が一番よくありません。大切なのは、身体が出している違和感や不調のサインを見逃さないようにすることですね。
自分の身体は自分で守る
日本の世帯別人口(総務省)
皆さんもよくご存知のように、日本社会は年々少子高齢化が加速しています。上のグラフを見てもわかるように、65歳以上の人口が何と全体の30%ほどを占める状況なのがお分かりになるでしょう……。
身体は高齢になればなるほど衰えていきます。当然のことながら、高齢者の割合が増えるほど医療費も増大します。すると医療費が次第に国の財政を逼迫するようになるでしょうし、保険の保障制度、年金制度なども大きな見直しが必要となってくるかもしれません。
そのためにも受け身的な健康管理ではなく、積極的に自分の健康状態を把握して認識することが必要なのです。日本人の平均寿命は着実に延びていますが、身体が動かせる健康寿命が延びていかなければ意味がありません。
「長く仕事をしていきたい」「好きなことをやっていきたい」と思ったら何よりも健康であり続けることが大切です。今後は人任せの寿命ではなく、健康寿命をいかに伸ばせるかが社会のあり方を変える重要なポイントになってくるでしょう。
なぜ血液検査なのか?
血液は健康のバロメーター
私たちは身体の調子が良くないときや、身体が今どんな状態なのかを知るために、体温や血圧を測ったりしますよね。血液には身体のあらゆる細胞に酸素を送り込んで二酸化炭素を除去する大事な働きがあります。
特に40歳以上の中高年の方が気をつけるべき生活習慣病を引き起こす兆候は、血液の状態に顕著に出るようになるのです。まさに血液はどのような健康状態なのかを表す健康のバロメーターといえるでしょう。
手間がかからない
現代人はとにかく忙しくて時間に追われています。
しかも病院で診察を受けたいのに、「病院の予約をしても診察がいつも混んでいて気が滅入る」とか、「紹介状がないと診てもらえない」などの困った状況もよく耳にしますよね。
「身体の状態がいまいちなんだけど、どこに行っていいのか分からない…」そんなときはすぐに結果が出やすい血液検査を受けましょう。
自宅から検査キットで送っても、簡単予約でお店で検査を受けても約1週間後には結果を知ることができます。
定期的に検査しやすい
簡単な検査だとしても継続性がないと、セルフケアはなかなかできません。なぜなら血液の状態は一定という訳ではないし、環境の変化によってどのようにも変化するからです。
しかし病院に行くとなると、予約から待つ時間、診察結果、精算時間などのすべてが億劫でストレスになりかねません。
そのためにも定期的な血液検査が有効なのは言うまでもないですよね。自分で無理のないペースで検査を受けられるようにスケジュール調整するのがいいでしょう。
銀座血液検査ラボ/ketsuken血液検査で分かる注意ポイント
「血液検査から身体の状態が分かる」というのを理解していただけたのではないでしょうか。それでは血液検査の項目で特に注意すべきポイントはどこなのかを見ていきましょう。
脂質異常症
脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪などの血液中の脂肪分が多すぎるか、少なすぎる状態をいいます。LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪の数値から、脂質異常症(高脂血症)のリスクがわかります。
血液中の脂肪分の異常によって、血管が硬くなる動脈硬化が起こります。高脂血症は動脈硬化により脳梗塞などを引き起こしやすくなるため、生活での改善が必要となるでしょう。
腎機能
腎臓は血液をろ過することで、身体に必要ない水分や老廃物を尿として排出しています。腎臓が体内の老廃物をろ過する力を表す値で、数値が高いほどろ過の力が高く良好なことを表します。
慢性腎臓病(CKD)は腎臓のはたらきが健康な人の60%以下に低下する(eGFRが60ml/分/1.73m²未満)か、あるいは尿中にタンパク質が漏れ出るといったなんらかの腎臓の異常が、3か月以上続いた場合に診断されます。
肝機能
肝臓のおもな働きは代謝と解毒です。AST(GOT)は心筋や骨格筋、肝臓に多く存在する酵素で、ALT(GPT)は肝細胞に多く存在する酵素です。どちらも肝臓で異常があった場合に増加します。
AST(GOT)とALT(GPT)のどちらの数値も高い場合は肝機能障害(脂肪肝・アルコール性肝炎・急性肝炎・慢性肝炎・肝臓がんなど)が疑われます。AST(GOT)の数値だけが高いのであれば、心筋梗塞や筋肉疾患などが疑われるでしょう。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値が慢性的に高い病気のこと。血液検査では血糖値とヘモグロビンA1C(HbA1C)の数値で糖尿病のリスクを判断できます。血糖値は空腹時で109mg/dL以下が正常値で、HbA1Cは5.8%以下が理想とされています。
血糖値が高い状態が続くと血管がダメージを受けてさまざまな合併症を引き起こす危険性もあります。適正な数値にコントロールする必要があるでしょう。
社会貢献を兼ねる検査
社会貢献度の高い検査は、積極的に社会参加しながら自分の意識を高めつつ、血液の状態も知ることのできるメリットがあります。
献血
献血は全国どのルームでも可能な血液を提供するボランティアです。
献血で提供された血液のほとんどは多くの患者さんの輸血用として利用されています。献血のメリットはそれだけではありません。
献血に協力した人には、全員に献血時の血液状態を記録したデータが届けられることです。献血に協力した人が、次回の献血が可能になるのは400mlであれば、約4か月後になるでしょう。そのくらいの間合いでまた献血に協力するのもいいかもしれませんね。
献血のメリット
- 年間100万人ともいわれる輸血を必要とする患者に使われる
- 血液検査が無料で受けられる(後日メール配信)
- 健康診断ではわからない項目が把握できる
献血のデメリット
- 貧血症の人は参加できない
- 当日の行動が限定される
- 体調によっては具合が悪くなる場合がある
治験モニターの無料健診
新薬を開発したり、治療の有効性や安全性を確認するための臨床試験に参加する人のことを治験モニターといいます。
JVCN-医学ボランティア会では40歳以上の方を対象に無料の健康診断を実施しています。最近検査を受けてないという人や糖尿病・高血圧など、気になる方は要チェックかもしれません。
検査項目が通常の健康診断より多いので、細部にわたる健康チェックが可能です。病気の予防に活かしてみてはいかがでしょうか? 検査内容は血圧測定および血液検査になります。
ただし健診に参加するにはJVCNの会員登録が必要になるのでご注意ください。
治験モニターのメリット
- 治験の開発に協力するモニターのため、メーカーから負担軽減費が支給される
- 次世代へ新薬を開発するきっかけとなる
- 自分の関心のある治験に参加できる
治験モニターのデメリット
- 臨床試験に参加するための条件や一定の制限がある
- 薬の服用などで副作用が出ることもある
- 採血がたびたびある
民間・メーカーの血液検査
血液検査というのは一般的に会社の健康診断や自治体の健診で受ける以外はあるようでなかなかありません。しかし最近は民間の血液検査で幅広く検査できるサービスも増えています。
あなたのライフスタイルや目的に応じたサービスで検査を受けるのがいいでしょう。
mierukara
「病気になったら治す」ではなく「病気になる前にしっかりケア」まずは手軽にじぶんのからだをチェックしましょう!「mierukara(ミエルカラ)」はあなたのセルフメディケーションのお手伝いをします。
公式サイトより
検査の流れ
ECサイトで注文すると、ご自宅に検査キットが到着します。
検査キットを利用して、血液をご自身で採取します。採取は簡単です。
同梱されている封筒に検体を入れたら後はポストに投函するだけ ※返送料は無料です。
返送された検体を当社の臨床センターで検査いたします。
健康チェッカー(大正製薬)
「健康チェッカー」は自宅で簡単にできる血液検査キットです。
大正製薬サイト
血糖値やコレステロール、中性脂肪など気になる計14項目の数値がチェックできます。検査結果は専門家がわかりやすく解説しアドバイスももらえます。
生活習慣対策を始めたら、カラダの数値も定期的にチェックし健康的な毎日にお役立てください。
検査の流れ
定期コース、まとめ買いあり。ご不明な点などご質問も受け付けております。
1週間ほどで検査キットが届きます。内容物に不足が無いかなど、ご確認ください。
説明書に従い、検査に必要な血液を採取します。
採取した検体と申込書を返信用封筒に入れ、ポストへ投函してください。
お客様の検体を検査センターで分析します。
検体がセンターへ届いてから約1週間後に、検査結果シートをお届けします。
デメカル(DEMECAL)
デメカル(DEMECAL)血液検査キットは、組み合わせ医療機器として厚生労働省から承認されています。血液検査は「デメカルヘルスケアリサーチセンター」(山梨県笛吹市)で行われ、デメカル専用の検査所として運営されています。第3者機関による精度管理が適切に行われているかの評価でも、その結果は国内最高レベルを得ています。
公式サイトより
検査の流れ
検査したい項目の血液検査キットを購入ページから申し込みます。7~10日後にご自宅に郵送されます。
血液の採血は御自身で行ってください。血液摂取後は、付属の消毒布と絆創膏を使って、傷口に雑菌が入らないよう注意しましょう。
採取した血液(検体)と申込書を一緒に同梱の返送用封筒に入れて、郵便ポストに投函してください。
専門の検査センターで血液を検査します。検査に要する期間は、調べる検査項目の種類によりますが、検体到着後3日程度です。
検体が検査センターに到着後約4日後、登録されたメールアドレス宛に、検査完了メールをお送りします。
最初の血液検査結果と同時にDEMECAL IDが発行されます。2回目以降は、IDを申込書に記入すると、データは一元管理され時系列に検査データが報告されます。
PROUMED
自宅で簡単にできる血液検査。病院でしか血液検査ができないという概念を覆す。早期発見が難しかった病気の予兆を把握し、健康的な日常の維持に貢献いたします。
PROUMED血液検査ページ
検査の流れ
銀座血液検査ラボ
銀座血液検査ラボの自己採血検査なら、採血時間最短1分で身体の負担やストレスを最小限に抑えた検査が可能です
銀座血液検査ラボ
検査の流れ
当店は、完全予約制です。サイトから、前日までにご予約をお願いいたします。
予約したお時間にご来店ください。ゆったりとしたスペースでお待ちしています。
採血方法とアプリの説明をいたします。
ご自分で採血していただきます。1~2分ほどで採血できますのでご安心ください。
ご来店の最短翌日にスマホアプリ「ketsuken」に検査結果を通知いたします。
血液検査サービスの比較
まとめ
血液検査をすることの意義を分かっていただけたでしょうか?
やはり身体の基本的な状態を知ろうと思えば、血液検査が最初になりますよね。最後に改めて血液検査の大切さについてまとめてみました。
血液検査の大切さ
- 身体の調子が良くないときや、身体が今どんな状態なのかを知るために、体温や血圧を測る。
- 血液は身体の細胞に酸素を送り込んで二酸化炭素を除去する大事な働きがある。
- 中高年が気をつけるべき生活習慣病の兆候は、血液の状態に顕著に出やすい。
- 身体の状態が良くなくて、どこに行っていいのか分からないときは、結果が出やすい血液検査を受けるべき。
- 自宅から検査キットで送っても、お店で検査を受けても約1週間後には結果が分かる。
- 待ち時間、診察結果、精算時間などのストレスがないため、定期的な検査を継続しやすい。