現在地を離れて考えてみよう。よりよい世界が見えてくるはず!

ふだん私たちは決められた(自分で決めた?)社会の枠組みやルールの中で生活しています。そして老後までをしっかり見越した生活設計を立てながら暮らしている方が多いのではないでしょうか。

しかしライフスタイル、環境や気候条件が大きく変わりつつある今日、これまで常識だった社会通念が徐々に通用しなくなってきています。そのことに悩んだり、慌てる人も増えてきているとも聞きます。

むしろこれまで常識とされてきた生活全体を一度リセットして、考え方や価値観を見直す時代がきているのかもしれませんね。今回は定住型価値観と移動型価値観を対比させながら、現在地から一度離れてみることの意義を共有していきたいと思います。

目次

ライフスタイルの変化

定住型生活観と移動型生活観

21世紀に突入してまもなく四半世紀です。当然のことながら時代の変化とともにライフスタイルも大きく変化し、価値観も多様化してきましたよね。

ライフスタイルの見逃せない変化としてあげられるのが、これまでのマイホーム型の定住型生活に対して、移動型生活が徐々にクローズアップされるようになってきたことです。

定住型は言うまでもなく居住地(自宅・家庭)をしっかり構え、本業の仕事をしっかりこなしながら将来の生活設計を立てていく従来型のライフスタイルです。

これに対して移動型は家庭と仕事、趣味、旅行などに明確な線引きはなく、一つのかたちに固執することもありません。むしろそれぞれが価値を共有しながら生活の質を高めていく新しいライフスタイルといってもいいでしょう。

自宅(家庭)と仕事が生活の基本スタイル
旅行や趣味は余暇に楽しむ
自宅と仕事、趣味、旅行の間に明確な線引きはない
どれもが関係を保ちながら生活の質を高める

定住型と移動型の違い

定住型と移動型の特徴を簡単にまとめると以下のようになります。

スクロールできます
おもな特徴定住型移動型
生活スタイル家庭と仕事を中心にした生活自分の価値を発見することに重きをおいた生活
趣味・旅行余暇として楽しむ積極的に生活に採り入れる
地域のコミュニティ近隣住民との関係強い比較的希薄
経済的基盤比較的安定不安定
人間関係決まった関係多種多様
価値観・考え方社会常識に基づく一つの価値観にこだわらない。
自由な発想
定住型生活観と移動型生活観の特徴

変化の背景

ライフスタイルの大きな変化の根底にあるのは、定住型スタイルの象徴でもあった「終身雇用が崩壊しかけている」ことがあげられます。

また「家族のあり方」が多種多様になってきたこともあげられるでしょう。当然のことながら時代の変化とともにライフスタイルの変化が見られるようになってきたのです。

終身雇用の崩壊

昭和から平成にかけて、日本は目覚ましい高度経済成長を成し遂げてきました。当時企業は、会社に忠誠を尽くす人材を採用し、給与や待遇面も含めて「終身雇用」というかたちでそれに応じてきたのです。

しかし長引く経済不況や少子高齢化による労働人口の減少は、終身雇用という制度を過去のものにしつつあります。転職を経験する人も少なくない中で、はたして本業だけに頼って暮らしていっていいものだろうかという声が上がってきたのも当然といえるでしょう。

家族のかたちの変化

家族のかたちもこの数十年で大きく様変わりしました。親と同居する夫婦や、三世代家族は大幅に減少しています。一方、結婚しない人も増えてきているし、一人暮らしの高齢者も急増していますよね。

急速な核家族化とともに、現代社会は子供がいたとしても、年を重ねるごとに「孤独」になりやすい傾向があります。この課題を改善する方法として、血縁のない者同士の同居や共同生活は、ますます増えていくかもしれません。

働き方の多様化

2020年に世界中で大混乱を引き起こしたコロナ禍はライフスタイルにも重大な変化をもたらしました。その結果、さまざまな業種でリモートワーク主体のビジネスモデルに変わりつつあります。

本業だけにとらわれない副業の増加や、複数の仕事を掛け持ちしながら働くパラレルワーカーも一般化して、「一つの仕事だけ」という常識が崩れつつあります。この傾向は、今後さらに加速することになるでしょう。

定住型生活のメリットとデメリット

メリット

安定性

一般的には経済的、社会的に生活が安定しています。終身雇用が約束された仕事に従事している場合は、よほどのことがない限り安定した生活環境が保障されるでしょう。

社会的つながり

決してひんぱんではなくとも、近所づきあいや地域コミュニティへの参加がそこそこ多くなるでしょう。近隣住民との信頼関係が築けたり、何かあった場合に助け合うことが可能になります。

経済的利点

長年の貯蓄や保険の積み立てなどの蓄積が大きく、生活は比較的安定しているといえるでしょう。住居や仕事の継続性が確保されやすいのも特徴です。

デメリット

単調さ

生活全般、仕事や人づきあいにおいても、何らかの目的を持ったり、意識をしないと同じ生活パターンの繰り返しになりやすい傾向があります。

成長のストップ

現在の生活を守るという意味でも、行動が常識とルールに基づいたものになりやすく、生活全般が守りになりやすい特徴があるでしょう。新しい経験や挑戦をすることは、生活を維持する上ではリスクを背負う可能性もあります。

移動型生活のメリットとデメリット

メリット

新しい経験

新しい場所や文化を経験することで視野が広がると言えます。一言で言えば、「心に風を送る」「気分をリフレッシュする」ということができるでしょう。仕事をする場所を変えたり、住居を変えることなどが新鮮な体験につながるでしょう。

柔軟性

日々新しい挑戦をすることが多いので、変化に対する適応力が高まります。偏見を持たず、考え方や発想がとても柔軟になるため、狭い見識から脱却できるようになります。

創造性の向上

新しい環境、日常とは違う非日常的な空間に身を置くことで、創造的な体験をすることがあるでしょう。生活すべてがクリエイティブな発想と行動に貫かれるようになるため、物事に対する観点や思考も自由な広い意識で臨むことができるようになります。

デメリット

安定性の欠如

住む場所や仕事の変化がひんぱんに起こりやすいため、安定性に欠けることがあります。

社会的つながりの希薄さ

移動が多いため、地域のコミュニティに溶け込みにくくなる可能性はあります。長期的な人間関係を築きにくいこともあげられるでしょう。

離れてみることのメリット

ここまで定位置型生活観と移動型生活観について説明してきましたが、どちらが良い、悪いということを言いたいのではありません。ライフスタイルの違いこそあっても、意識や行動次第で状況は大きく変えていけます。

特に強調したいのは上の図のように一度完全にリセットして、何事も現在の状態から少し離れて考える、見ることによって道が開ける可能性が高まるということです。

離れてみることのメリット

  • 間を置く、時間を置く、場所を変える、見方を変えるなどして、思考をニュートラルな状態にすることがあらゆる問題、課題を解決する第一歩となる。

人間関係の改善

いつも同じ屋根の下に住んでいると、分かっていても意見が対立したり、絶えず相手の悪い面ばかりが目に止まりやすくなり、関係修復が困難になってしまう場合があります。こういうときは少し距離を置いたり、間を空けるなどして一度リセットしなければならないでしょう。

その場合は少し距離を置くことで、感情が整理され、人間関係が改善されることがあります。離れてみたり、間を置くことで、見えなかった本質の部分が見えるようになります。

新しい視点の獲得

違う場所や状況に身を置くことで、これまでになかった新しい視点や斬新なアイデアが得られるようになります。

心身のリフレッシュ

環境を変えることで、心身がリフレッシュされ、健康も保たれるようになります。何より自分の価値を再認識したり、自己肯定感を引き上げるきっかけにもなるでしょう。

価値を高める方法と実例

旅行に出かける

旅行というと「自分発見」というワードが頭に浮かんできます。

なぜなら旅行は、訪れる土地の気候や風土、空気、自然環境、人との出会いなど、感性を刺激するさまざまな発見や感動があるからです。

旅行の魅力は自己発見や成長のチャンスがあることが挙げられます。 趣味に没頭したり、仕事を進めるのも自由にできるため、自分自身と向き合いながら充実した時間を過ごせるでしょう。 

散歩をする

散歩は気が向いたときにふらっと出かけたり、あてもなくブラブラと川辺や公園に佇むとか、ウィンドウショッピングをしたり、行きつけの街を散策したりと、自分のペースでゆっくり回るのが魅力です!ダイエットや健康のために、目的を持って歩くウォーキングとはちょっと違います。

時間を気にすることなく、自由気ままにのんびりと街並みや自然の景観を感じながら歩くことで、次第に自分を見つめ直すこともできるのです!

1対1のミーティングは散歩にとても適しているといえるでしょう。歩きながら深い会話を二人でするという自然なやりとりが散歩ミーティングに注目が集まる理由なのかもしれません。

新しいことに挑戦する

「これはいい」「自分に合ってるかも…」そんなときには是非トライしてみてください。新しいことに積極的にチャレンジするのは成長を促すだけでなく、未来を切り開くチャンスにつながるでしょう。

逆に生活がパターン化すると、感性が鈍る要因にもなります。

ときには常識を疑ってみるのも大いにアリです!「他の人と違うやり方・方法を見つける」こともそうかもしれませんね。「もっと他のやり方があるはず」と、別の選択や行動を起こす勇気を持つことも大切になるでしょう。
「これまでこうしていた」「こうしないと難しい」といった先入観があると、いつまで経っても「変化」を起こすことはできません。

イノベーションを起こすには感動やワクワク感が必要不可欠です。また、「これは!」と思うことには積極的にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

気持ちを前向きにすることでピンチをチャンスに変える名案が浮かぶことがあるし、難しい状況をすべてカバーする発想が降り注ぐことだってありますから…。

ワーケーション

ワーケーションとは、仕事(Work)と休暇(vacation)を組み合わせた造語です。普段の職場を離れてリゾート地や観光地で仕事をしながら休暇を取ることです。ノートPCを片手に旅先で仕事をするのが一般的と言えるかもしれません。

オフィスや家以外の場所で余暇を楽しみながら仕事を行うこと全般がワーケーションに当てはまると言えるでしょう。現在は会社全体でワーケーションの施設を利用し、非日常の空間で仕事と休暇を同時に兼ねながらリフレッシュするスタイルも広まっています。

ワーケーションは通常のオフィス空間では得られないインスピレーションが浮かんだり、快適に仕事が進められるとして、多くの企業が効果を認識するようになりました。

住むスタイルを考える

住むスタイルもライフスタイルの変化とともに、目的とニーズに応じたさまざまな種類の居住形態が出てまいりました。ソーシャルアパートメントや定額住み放題サービスはその代表的な例といえるでしょう。

ソーシャルアパートメント

住人間の交流を楽しむ新しいアパート・マンションをソーシャルアパートメントといいます。なおかつ自分の時間や空間はしっかり確保したいという方のための新しい一人暮らしのスタイルです。 

定額住み放題サービス

空き家サブスク(定額住み放題サービス)は、月々一定の賃料で全国各地の空き家に住めるサービスです。敷金や礼金、更新料などを支払う必要がないため、初期費用が抑えられるというメリットもあります。

離れることで得られる成功例

旅に出たモーツァルト

父レオポルドと妹マリア=アンナとパリで演奏する
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの肖像(1763年)

モーツァルト(1756-1791)はよく旅の音楽家と言われます。それは彼が幼い頃からたびたび演奏旅行に出かけたり、求職活動のためにヨーロッパを絶えず周っていたためでした。

モーツァルトが旅をした比率は、生涯(35年)のなんと30%にも及ぶといわれています。彼にとって「旅」がどれほど重要なルーティンであったかが認識できるし、創作やインスピレーションの源泉になっていたことがうかがえるようですね。

モーツァルトは、「旅をしない音楽家は不幸だ」とも考えていたようです。

散策を好んだベートーヴェン

物思いにふけるベートーヴェン (1901年頃) 
Julius Schmid (1854–1935)

ベートーヴェンは自然をこよなく愛した人でした。

散歩は彼の日課になっていて、歩いている途中でみじかい休憩を取り、脚のストレッチなども行っていました。いつもペンと紙を持ち歩き、インスピレーションが湧き上がってくると立ち止まって書きとめていたそうです。

耳が聞こえなくなってからのベートーヴェンの不滅の傑作群は、日々の散策や自然との語らいを抜きにしては語れないともいえるでしょう。

とくに交響曲第6番「田園」などは、彼自身の心の声に忠実に、自然との共存から受けるインスピレーションや感動体験を強い共感をもって描いた唯一無二の作品ですね。

散歩でミーティング・ジョブズ

アップルの共同創業者であり、MackintoshやiPhoneなど革命的なイノベーションを引き起こしたスティーブ・ジョブズ。

ジョブズは歩きながら話したり、考えることで、多くのアイデアを生み出していたといわれています。彼は定期的に長時間歩きながら、ブレーンストーミング・ミーティングを行っていたそうです。特に重要な議題は歩きながら話しあうことを好んだそうです。

まとめ

一つのところに固執するのではなく、現在地を離れて物を考えることは新たな道を切り開くきっかけにもなるし、心身のリセットにもつながります。

そのような意識を持って生活するだけでも、家庭や仕事、交友関係などでさまざまなメリットを感じるようになるでしょう。発想の転換と柔軟性はこれからますます大切になっていきますね。

現在地を離れることのメリット

  • 人間関係の改善
  • 新しい視点の獲得
  • 心身のリフレッシュ

価値を高めるための方法

  • 旅行に出かける
  • 散歩をする
  • 新しいことに挑戦する
  • ワーケーション
  • 住むスタイルを考える
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