睡眠はなぜ大切なの?メンタルに重大な影響を及ぼす理由

このところ一般の人たちの健康志向が強まる中で、さまざまな健康法が話題になっていますね。

有酸素運動が大切だとか、糖分・塩分の摂り過ぎは良くないとか、バランスの良い食事をしないといけないとか……。

もちろんそういったことも充分意識すべきでしょう。しかし健康を語るうえで絶対に外せない要素があります。

それは何といっても「睡眠」ですね。なぜ睡眠がそれほど大切なのでしょうか? そこで今回は睡眠が及ぼす心身への重大な影響について見ていきたいと思います!

目次

睡眠の大切さ

睡眠がもたらす健康面・精神面での影響の大きさは計り知れません。特に精神面での影響は絶大なものがあります。

睡眠は心身をリセットする

睡眠がどうして大切なのでしょうか?

それは睡眠が単純に休むだけの時間ではないからです。身体の働きや機能を整えて修復する大事な時間だといえるでしょう。

つまり心身の回復やリセットにはまたとない時間なのです。

睡眠時間は、その日のあらゆる不調を修復して、翌日の活動に備えられる心身の充電・メンテンナンスをする時間といっても過言ではないでしょう。

脳や内臓器官、活動モードと休息モードを調整する自律神経系、体内環境を調整するホルモン系、疲労回復を促す免疫系などがバランスをとりながら修復を進めていくのです。

したがってむやみに睡眠時間を削ったり、軽視することは、健康上の大きなリスクを冒しているのに等しいともいえるのです。

自律神経を整える

睡眠は自律神経の副交感神経を整える働きがあります。

自律神経とは、自分の意志とは関係なく、24時間自動的に働く神経のこと。アクティブモードの交感神経とリラックスモードの副交感神経の2つの神経で構成されています。

ちょうど車のアクセルとブレーキの働きに似ていて、それらがうまくバランスをとるように身体の機能を維持しているといえるでしょう。

睡眠をとる時間や質が低下すると、交感神経優位の状態が長くなり、疲労が蓄積される頻度が高くなるなど、さまざまな活動に影響を及ぼすようになります。

健康の基本原則

睡眠は健康を維持する上で欠かせない必須条件です。上図のように睡眠は体調の回復だけでなく、精神面の負担も軽くしてくれます。

もちろん食事や身体のメンテナンスも大切ですが、特に睡眠は健康の根幹に関わる大切な要素といえるでしょう。むしろ健康を維持する上で最後の砦といえるかもしれませんね。

仮に食事が喉を通らなかったとしても、身体を動かせなかったとしても、最悪眠ることで身体を休めて機能を維持することができるからです。

免疫力を高める

18~55歳の健康な男女164名の7日間の睡眠時間を記録し、1日あたりの平均睡眠時間でグループ分けを行った。その後、風邪ウイルスを鼻に投与し、風邪の発症率を比べた。
出典: Prather AA, et al. Sleep. 2015;38:1353-9.

上の図は、睡眠時間が短くなるほど風邪にかかりやすいことを示した例です。これと大きく関わっているのが免疫力の低下ですね。

免疫力はウイルスや病原菌などが体内に侵入すると、身体の免疫システムが稼働して、侵入してきた異物から身体を守ってくれる作用。

免疫と密接な関係を持つ白血球やリンパ球などの活動は夜間に活発になり、細胞が作られるようになるのです。

したがって十分な睡眠が取れていないと、免疫システムも本来の機能を発揮できなくなるのは間違いありません。

メンタル面のメリット

睡眠が充分にとれると、心身がリセットしてスムーズに物事を進めることができるようになります。どのような特徴があるのかを見てまいりましょう。

意欲が湧いてくる

良質な睡眠がもたらす、最大のメリットは意欲が湧いてくることです!ホルモンバランスや自律神経が整うことも大きいですね。

肉体的な疲労はもとより、精神的なストレスもリセットされることで、前日との受けとめかたが大きく変わるからでしょう。

前日までは困難だと思えたことも、一夜明けると何でも出来そうに思えてくるから不思議です。

集中力が増す

質の良い睡眠は気のエネルギーを補充し、集中力を増大させます。十分な睡眠がとれると、次の日の記憶力や集中力が飛躍的に向上するでしょう。

どれほど細かい作業であっても、細心の注意を払って事に取り組めるエネルギーが漲っているからです。

逆に睡眠時間が短くなると、脳の老廃物が排出されず機能が低下するため、集中力低下につながってしまうのです。

表情が豊かになる

睡眠がしっかりとれると表情が豊かになります。同時に感情表現も豊かになりますね。

何と言っても気持ちにゆとりや自信が持てることが大きいでしょう。喜びや感動など、素直な感情がためらわずに表せるようにことの気持ちよさ!

逆に睡眠不足だと何ともいえない気だるさがあるため、何に対しても億劫になり、表情が乏しくなってしまいます。

アイデアが浮かんでくる

質の良い睡眠は、心身をフレッシュな状態にリセットします。脳の情報を的確に整理し、翌朝のひらめきが生まれやすいコンディションを作り出すのです。

これには理由があります。眠っている間中に脳は情報の整理を行っています。このとき結びつかなかった過去の情報や記憶も呼び起こされることがあるのです。

翌日それが偶然に結びつくかたちでいいアイデアとなって浮かぶ……というわけです。

メンタル面のデメリット

睡眠の不足や睡眠障害は、時としてメンタル面に深刻な事態を引き起こします。

やるきが起きない

やる気が起きないときや、頑張れないときは睡眠が足りていない可能性があります。

「何かをやってみたいけれども力が出ない」「最近意欲が湧いてこない」という場合などが、その最たるものといえるでしょう。

まずはしばらく休養してみるとか、睡眠をできるだけとれる環境をつくることが大切かもしれませんね。

発想が悲観的になりやすい

過労時や睡眠不足のときの深刻な現象のひとつが、発想が悲観的になりやすいことです。

睡眠不足は気分の落ち込みやマイナス的な発想を招きやすいので要注意。複雑な業務を抱えていたり、困難な事態に直面している場合はよりダメージが大きいといえるでしょう。

心身の負担をできるだけ減らすためにも睡眠はしっかりとらないといけないでしょう。

病は気から

昔から「病は気から」といいます。「気」を充実させないと病気にかかりやすくなることを意味していますよね。

そのような「気」と密接な関係を持っているのが睡眠と考えていいでしょう。睡眠不足は長期に渡る不調の原因となったり、さまざまな病気を引き起こしてしまいます。

「最近なんとなく倦怠感が抜けない」、「ストレスを引きずってしまう」などの場合も、睡眠を真剣に考え直してもいいかもしれません。

注意力が散漫になる

集中力の減退、注意力散漫になることもよく取り沙汰されますね。心身が充分にリセットされていないので、疲労を翌日に持ち越した状態と考えてもいいでしょう。

特に睡眠不足のときは、複雑な思考を伴う作業や、時間内に終わらせるべき計算などの作業は少々危険を伴います。作業がはかどらないためイライラしたり、投げやりになることも。

とかく集中力を欠きやすい状況のため、業務以外にも事故などに巻き込まれないように気をつけなければなりません。

睡眠を効果的にするために

「質のいい睡眠をとるべき」といっても、実際はライフスタイルや環境によってなかなか難しいこともありますよね……。

そこで睡眠が生活の中で大切なひとときとなるために、以下の事柄を提案いたします。

ストレッチをとり入れる

ストレッチは 身体にあまり負荷をかけずに、リラックスした状態で疲れをとったり、体調を整えるなどの目的で行われます。

逆に激しい運動や筋力トレーニングなどは、かえって交感神経を活発にしてしまい眠れなくなる可能性があるので注意が必要ですね。

就寝10分前くらいの柔らかめのストレッチは血流を促進し、心地よい眠りへ誘う助けとなるでしょう。

ストレッチをとり入れる

  • 身体にあまり負荷をかけずに身体を緩ませ、リラックス効果のあるストレッチをとり入れる
  • 激しい運動は交感神経を活発にする恐れがあるので避ける
  • 就寝10分前くらいのゆっくりめのストレッチが血流を良くする

仮眠の併用

睡眠時間が不足した場合に眠りを補う最良の方法の一つが仮眠でしょう。

仮眠は単純に寝ればいいというものではなく、いくつかの約束事があります。

一つは仮眠に費やす時間を10分〜20分程度に限定すること。もう一つは眠る体勢を机に伏した状態にして熟睡しないように注意することです。

できれば昼の12時半くらいから14時くらいまでに摂れるのがいいでしょう。あまり遅くなると夜の睡眠に影響するからです。

仮眠の併用

  • 睡眠不足を補うには昼食後の10分〜20分くらいの仮眠がベスト
  • 机に伏した状態で熟睡しないようにする
  • 仮眠は遅くとも14時くらいまでにする

アロマの香りを利用する

アロマの香りをとり入れるのも効果的ですね。

香りは人の心に深く働きかけます。リラックス効果が高いので、ストレッチなどを絡ませるのも効果的かもしれませんね。

手軽なものとしては、アロマディフューザーを寝室に置いて、香りを漂わせるのもいいでしょう。

その日の気分によって、アロマの種類を変えるのも気分を落ち着けるのものいいかもしれません。

アロマの香りを利用する

  • 香りは五感の中で最も人の心に働きかける
  • アロマディフューザーなどで香りを漂わせるのがスムーズな睡眠の近道
  • ストレッチと絡ませるのも効果的

枕・寝具を見直す

就寝時にどのような寝具や枕を選ぶかで、睡眠の質は決定的に決まるといってもいいでしょう。

寝具選びはとても難しいですが、実際に触ったり、寝るなどして体感することが大切です。

深く身体が沈むフカフカの布団や枕は疲れがなかなか取れません。むしろ目覚めたら疲労が溜まっていたという例もあるくらいです……。

柔らか過ぎず、硬すぎず、ほどよい弾力性を維持しながら身体をしっかり保護する作用のある寝具(マットでも可)がいいでしょう。

枕・寝具を見直す

  • どんな枕・寝具を選ぶかで睡眠の質が決定する
  • 寝具選びは実際に横になったり、触ってみるなど体感する
  • 硬すぎず、柔らかすぎず、身体を適度に保護しながら、体重を分散させる効果のある寝具を選ぼう

寝室を整える

まずは寝室の周辺環境を整えるようにしましょう。眠る空間にはできるだけ物を置かないようにするのがベスト。

周囲に物が散乱していると気分が安定せず、落ち着かないからです。また他の部屋の照明や話し声が聞こえないようなレイアウトにしたり、スムーズな眠りに就ける工夫をするのもいいかもしれません。

寝室を整える

  • 寝室にはできるだけ物を置かないように気をつける
  • 照明やレイアウトを工夫して環境を整える

まとめ

いかがだったでしょう

睡眠は健康を維持する上で、改めて大切な習慣だということが認識できたのではないでしょうか。

食事と運動、そして睡眠と、健康管理の三本柱とも言われたりしますが、中でも心身に多大な影響を及ぼす睡眠の占める割合は高いといってもいいでしょう。

最近は一般企業でも睡眠がパフォーマンスをアップさせるということが強く認識されてきているようですね。皆様も今一度睡眠について考えていただくきっかけになればうれしい限りです。

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