行き詰まったら考えるのストップ!ゆっくりブラブラ散歩しよう

目的を持ってランニングやウォーキングをするのもいいけど、実は散歩もなかなか捨てたものではありません。

「運動は苦手だが、ブラブラしたり、あてもなく歩くのは大得意……」という人もいるのではないでしょうか?

それでいんですよ。散歩には楽しむことで脳が活性化したり、さまざまな良い効果が出るともいわれています。改めて散歩の魅力を見てまいりましょう!

目次

散歩をするべき4つの理由

気分をニュートラルにしてくれる

散歩のようにあてもなくぶらぶら歩くという非日常的な感覚はとても大切な瞬間です。なぜなら通常は時間に追われることが多いですよね。

仕事などで時間に追われたり、人間関係で神経をすり減らすようになると、心身にストレスが蓄積されてしまいます。その点、何も考えないで自由気ままに歩くことは最高の気分転換であり、リラクゼーションなのです。

散歩は歩くコースが決まっていなくてもかまいません。ただあなたが気の向くまま、足の向くまま歩きたいところを歩けばいいのです。

健康を維持してくれる

今は生活のあらゆる面で便利になって、家にいながらにして用事が済ませられることも珍しくありません。

オフィスではイスに座り続けて作業をして、帰宅してからも横になってスマホを見続けたり、パソコンの前にいるような状況は決して身体にいい状態とは言えないでしょう。

こんなときに歩き続けることで少しずつ効果を発揮するのが散歩です。散歩は長期間入院中の病院の患者さんや高齢者の方にも良い効果をもたらします。特に入院患者さんは毎日わずかな時間だとしても外に出ることで気分がリセットされます。

天気のいい日など、外気に触れるだけでも気分が開放的になり、前向きになれるでしょう。

創造性を高める

これまでも独創的な発想、良いアイデアは動いているときに降りてくると考えられてきました。2014年にアメリカのスタンフォード大学で行われた実験では、このことへの科学的な根拠が示されています。

実験は176名の学生に対して、室内で座った状態、屋外で座った状態、室内でランニングマシーンの上を歩く状態、屋外を歩く状態の4つのパターンに分けて行われました。

すると室内または屋外で歩いている人は、座っている人に比べて60%も創造性が高まるということが分かったのです。この実験では仮に室内であったとしても、動いている人はクリエイティブになりやすいことも実証されました。

自己肯定感を高める

散歩の最大の魅力の一つに自己肯定感を高めることがあります。しかもわずか5分間自然に触れただけで気分が向上するともいわれます。

それはなぜなのでしょうか。私たちは散歩によって、多くの眠っている感覚や感性が活性化されます。それによって脳も活性化し、自己肯定感も高まるようになるのです。

歩きながら季節の空気感、風の実感、街並みや周囲の情景、自然などを体感することで、さまざまな刺激を感知し、情報を吸収するようになるです。

有益な散歩スタイル

どうせ散歩をするなら、効果的に散歩をしたいものですね。次の方法は散歩をきっと有意義なものにしてくれることでしょう。

あくせくしない

ウォーキングのように目的を持って歩くのと違い、散歩はブラブラしながら自分の意識を解放するように歩くのが一番です。

できればきっちり時間を決めないで歩くのがいいですね。「何時まで戻ってこよう」「散歩しながらいろいろ考えよう」と思いながら歩くと、かえって疲れてしまいます。

勤務中の散歩などは時間を気にしないと難しいかもしれませんが、それ以外のプライベートな時間が取れる日や休日などは時間を気にしないで歩くのがいいでしょう。思いがけない発見や癒やしのひとときとなるかもしれません。

早朝の散歩

朝の散歩は心身をリラックスさせるゴールデンタイムです。

特に早朝、朝日が昇り始める時間帯は一日のうちで最もマイナスイオンが放出されるため、心身がリセットされやすく、脳は心地よい刺激で満たされるようになります。

瞑想したり、音楽を聴きながらゆっくり歩くのもいいでしょう。歩くことも有酸素運動の一つですから、歩くことで血流がよくなります。そうすると、たくさんの酸素が脳に送られ、活性化するのです。

歩きながらのコミュニケーション

意外に思うかもしれませんが、1対1のミーティングは散歩がとても適しているといえるでしょう。

二人で歩きながら会話をするという自然なやりとりこそが、散歩とミーティングの相性の良さかもしれないですね。机を並べて面と向かって話をするとなると、「その場から逃れられない」、「必要以上にプレッシャーがかかる」という問題が出てくるかもしれません……。

歩きながらのミーティングは、さまざまな緊張やストレスから解き放つのに好条件なのでしょう。しかも血流が良くなった状態は、問題の解決だけでなく、アイデアをよりスムーズに引き出し、コミュニケーションの手助けをしてくれるのです。

気分の上がる場所を歩く

どうせ歩くなら、気に入った通りや道を歩くのがいいでしょう。

私は東京の都心であれば、中目黒駅から恵比寿駅の東口まで歩くのが好きですね。 このあたりはアップダウンが多くてキツイはずなのですが、街並みを横目で見ながら歩くのが楽しくて、気がついたら到着しています……。

街並みが自分のフィーリングに合っていると、多少の坂道も気にしないで気分よく歩けるというメリットがあります。自分の感性に合うかどうかは一度歩けばだいたい分かるでしょう。

散歩を愛した偉人たち

歴史に業績を残した偉人たちは、散歩をこよなく愛したというエピソードが数多く残っています。彼らがどのように散歩を生活にとり入れたかを見てみましょう。

ルードヴィヒ・V・ベートーヴェン

L.V.ベートーヴェン(1770−1827)

ベートーヴェンの1日は朝のコーヒーを味わい、気分を高めることから始まったそうです。午後2時か3時過ぎまで仕事をし、軽めの昼食を摂った後、日が暮れるまでのほとんどの時間を散歩に費やしました。

「全能なる神よ! 森の中で私は幸福である― そこではおのおのの樹がおん身の言葉を語る。神よ、何たるこの荘麗さ!この森の中、 丘の上のこの静寂よ おんみにかしずくためのこの静寂よ!」

「ベートーヴェンの生涯」岩波文庫よりロマン・ロラン著/片山敏彦訳

いつも五線譜やメモ紙を持ち歩き、インスピレーションが湧いてきたら立ち止まって書き込んでいたそうですね。

ベートーヴェンは自然に身を置く中で、木の葉のざわめきや光や風、辺りを包む空気などから、自然の本質や魅力を余す所なく引き出すことに成功したのかもしれません。それらをくまなく表した傑作が交響曲第6番「田園」、交響曲第7番といえるでしょう。

ピョートル・チャイコフスキー

Embed from Getty Images

クリンにあるピョートル・チャイコフスキーの家
(写真提供:Fine Art Images/Heritage Images/Getty Images)

1877年、チャイコフスキーは結婚に失敗し、心身ともに追い込まれて自殺未遂をしてしまいます。心身の保養のために、スイスやイタリアなどのヨーロッパ各地を転々とし、作曲に専念しました。

6年間の放浪の旅の後、ロシアに戻ったチャイコフスキーが定住の地として選んだのがクリンだったのです。ここは彼がモスクワとサンクトペテルブルグの鉄道での往来を考慮して購入した特別な場所だったのでした。

クリンの自宅は自然豊かで、外部の騒音に惑わされずに日課の散策を堪能できる場所だったのです。広大な敷地の中には、散歩の途中で思いついたフレーズをメモするための休憩所もありました。

チャールズ・ディケンズ

Buss, Robert William; Dickens’s Dream; Charles Dickens Museum, London; http://www.artuk.org/artworks/dickenss-dream-191221

『大いなる遺産』で有名な小説家のディケンズ(1812−1870)も、午後2時から3時間ほど、1日に20マイル(約32km、東京から横浜くらいの距離?)も歩いたそうです。

彼にとっての「歩き」は明確な目的があったらしいですね。一つは、にぎわう街の様子をじっくり観察してストーリーの組み立ての材料にするためでした。

そしてもう1つが地味な執筆作業のストレスや、イライラを解放するための気分転換だったのです。

エリック・サティ

エリック・サティ(1866−1925)

ユニークなのが作曲家のエリック・サティです。

サティはパリのモンマルトル住まいだったのですが、1898年に郊外の街に引っ越します。それなのにほとんど毎朝、パリの元の家までの10キロほどの道のりを往復し続けたといいます。

郊外へ向かう最終列車にはちょくちょく乗り遅れ、その場合は家までまた10キロの道のりを歩いたそうです。それでも懲りずに、次の日の朝には歩いてパリへ向かうということを繰り返したのでした。

サティの音楽の特徴でもある、時間軸を定めない大らかな癒やしの音楽は、「毎日同じ景色のなかを延々と歩いて往復したこと」にヒントを得ているのでは?という説もあるようですね。

グレン・グールド

Embed from Getty Images

グレン・グールド(1932-1982)

バッハのゴルトベルク変奏曲でセンセーショナルなデビューを果たし、バッハ演奏に革命的なスタイルを確立したグールド。

彼は先天的に、人がたくさん集まる場所が嫌いでした。エキセントリックで研ぎ澄まされた感覚の持ち主であったため、巨大なコンサート会場に集まる観客そのものが嫌だったのです。

彼にとって演奏ツアーは神経をすり減らす最たるものだったのかもしれません。1964年に一切の演奏活動を行なわないことを公表します。

そんな彼が心穏やかな時間を過ごせたのは、カナダ・トロント近郊にあるシムコー湖畔の別荘で自由にピアノを弾き、雄大な自然の中で愛犬バンクォーと散歩し、瞑想にふけることだったのでした。

スティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズ(1955−2011)

散歩ミーティングを積極的にとりいれたのが、アップルの創業者スティーブ・ジョブズでした。

ジョブズは会議の形式もまったく形にはとらわれていませんでした。イノベーションを引き起こし、新しいアイディアを生み出すためには過去の常識には目もくれなかったのです。

歩きながら話したり、考えることもその一つで、ユニークで斬新なアイデアはそこから生み出されたといわれています。

まとめ

次に今回の内容をまとめてみました。散歩は誰でも気兼ねなくすぐに始められるのが最大のメリットといえるでしょう。

散歩をするべき4つの理由

  • 気分をニュートラルにしてくれる
    あてもなくブラブラ歩く非日常的な感覚が大切
  • 健康を維持してくれる
    歩き続けることで健康を維持でき、気分をリセットできる
  • 創造性を高める
    人は座っているよりも動いているほうがはるかに創造性が高まることが実証済み
  • 自己肯定感を高める
    散歩によって眠っている感覚・感性が活性化して脳に良い刺激が伝わる

有益な散歩スタイル

  • あくせくしない
    時間を気にせず、ブラブラしながら自分の意識を解放するように歩くのが一番
  • 早朝の散歩
    朝日が昇り始める時間帯は多くのマイナスイオンが放出されるため、心身がリセットされやすい
  • 歩きながらのコミュニケーション
    1対1のミーティングは散歩が適している。お互いに緊張やプレッシャーから開放される
  • 気分の上がる場所を歩く
    街並みが自分のフィーリングに合っていると、多少の難所でも気分よく歩けるメリット
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次