体質的な問題やストレス過多などで、聞くところによれば便秘が悩みという人は猛烈に多いですよね……。いろんな方法を試してみるけど、これといった有効な方法が見つからないという人は実に多いという印象です。
「もう便秘を直すのは無理かもしれない」と、諦めムードになっている人も少なくありません。
ここでは複合的な便秘の原因と、現在多いといわれる「隠れ便秘」についてやその対策について探っていきます。
隠れ便秘とは
自覚症状が少ない
「何日も便通がない」「お腹がパンパン」というのは、便秘の人がよく口にする症状です。しかし毎日便通があっても便秘の場合があります。
どういうことかというと排便してもスッキリしない状態、残便感がある状態といえるでしょう。
毎日排便があっても便秘は便秘
とかく誤解を受けやすいのが、毎日便通がなければ「便秘」なのかということです。
結論はNOです。
人によって快適な状態というのはまったく違います。毎日便通がなかったとしても、数日に1回の排便で調子が良ければ決して便秘ではありません。
逆に毎日数回に渡って排便があったとしても、残便感があったり、スッキリしない場合は便秘なのです。いわゆる隠れ便秘といってもいいでしょう。
生活のポイント
まずは生活から変えていくべきポイントがいくつかあります。それを意識するだけでもかなり排便環境が変わる可能性がありますよね。
睡眠をしっかりとる
睡眠と排便。一見何の関係もないように思われますが、そうではありません。実は睡眠は便秘と大きな関わりがあります。
睡眠が浅かったり、不十分だと身体の機能が充分に働かないし、機能麻痺したような状態になってしまいがちです。
1日フルに活動して疲れたら、必ずそれに見合う程度の睡眠をとらなければなりません。翌日の活動のために心身をリセットしなければならないからです。
リセットを身体の状態にふさわしい質と量で埋め合わせるのが睡眠なのです。いってみれば睡眠はスマホや家電の充電と同じと考えても良いでしょう。ですからむやみに睡眠時間を削ることは身体に負担を強いるのと同じことなのです。
リラックスタイムを持つ
便秘の最大の敵はストレスだとも言われます。
確かにストレスを抱えた状態で、すんなり排便ができるかというと、なかなか難しいものがありますよね。
特に厄介なのが、気疲れやプレッシャーが強いものです。ストレスとして溜め込むうちに身体の機能が正常に働かなくなったというのはよくあることです。
上図のように人には自律神経があって、交感神経と副交感神経の切り替えで身体が上手く機能するようになっています。
オン・オフの切り替えが上手くできるようになるには、必ず一日の内でしっかりリラックスできる時間を持てるようにしなければならないでしょう。
自分が本当に好きなこと、食事や時間さえ忘れるような没頭できる趣味でも構いません。気持ちが開放的になること、モチベーションが上がることもいいでしょう!
水を飲む、白湯を飲む
朝起きがけの白湯、お水は、たとえるなら体内の滞りをやわらげ、身体の血流を良くする潤滑油のようなものかもしれません。
また水分量を保つためには、1日に摂る水分量と出る水分量のバランスを維持することが大切です。
人は眠っている間に、汗をかいてコップ一杯ほどの量の水分を失うといわれています。そのため、朝起きたらコップに1杯ほどの白湯や常温の水を飲むのがいいのでしょう。
夜眠る前に、コップ1杯ほどの白湯を飲むのもオススメですね。寝ている間の脱水予防になるし、消化を促したり、副交感神経を優位にするなど、リラックス状態に導く効果もあります。
階段を昇り降りする
人は動かないと身体がどんどん錆びついてしまいます。
血液がドロドロになって動脈硬化を発症したり、循環器系に問題が出ることも珍しくありません。
特に足腰は50代以降に急激に衰えやすいので注意が必要ですね。
階段を使うと足腰、お尻などに自然な負荷がかかります。これが下半身の筋トレに似た効果を生み出すもとになるのです。そして忘れてならないのが継続しやすいことです。
筋トレやトレーニングをする方は御存知かと思いますが、身体のメンテナンスは継続しないとほぼ意味がありません。
そういう意味でも階段はてっとり早く足腰を鍛え、健康効果も高いのです。
大腸内視鏡検査を受ける
40代以上の人にとって今や必須になりつつある大腸内視鏡検査。
昔に比べると内視鏡検査もずいぶん苦しまないで受けられるようになりました。これはひとえに内視鏡の精度が飛躍的にアップしていることと、検査のマニュアルなどが充実してきたことも挙げられるでしょう。
特に50歳以上の人は大腸の内視鏡検査を2、3年に一度は受けるべきです。なぜなら内視鏡の検査を受けることでポリープの有無が確認できるからですよね。ポリープは放っておくと大腸癌の発症リスクになり得るので厄介なのです。
ポリープが確認されれば、すぐにその場で切除することができます。(しかも手術代として医療保険の申請対象になります)
大腸の健康状態が排便に大きな影響を与えていることも充分に考えるべきでしょう。
隠れ便秘を解消する方法
効果的に身体を動かすことや、呼吸を採り入れて便秘を解消する方法を見ていきましょう。
お尻を伸ばすストレッチ
手軽に出来て続けやすいおしりのストレッチも便秘をやわらげるには有効です。
床に足を伸ばした状態で座ります。
片足を伸ばしている片方の足にクロスさせながらまたぎます。
クロスさせた足を外側から腕で押しあてながら、身体をねじるようにします。
そのままの状態で深く呼吸をしながら、お尻を伸ばします。
およそ15秒ほどキープしたら、左右を入れ替えます。
POINT お尻のストレッチ
- ねじりを深くして、視線の位置を後ろにおくとお尻が深く伸びる感じがする
- 押し当てる腕の位置を上や下に調節して上体を安定させる
骨盤底筋を鍛えるストレッチ
骨盤底筋を鍛えるのは、尿もれはもちろん、便秘やお腹の不調を整えるのにピッタリです。特にやりやすい仰向けの姿勢で見ていきましょう。
まずは両膝を軽く曲げて立てて、からだをリラックスさせます。
息を吐きながら、骨盤底筋(肛門、膣、陰茎などを引き上げるイメージ)を引き締めます。5~10秒ほど息を止めた後、ゆっくりと息を吸いながら、骨盤底筋を緩めます。
骨盤底筋を引き締めている間は、呼吸は止めないようにします。5~10秒ほど息を止めた後、ゆっくりと息を吸いながら、骨盤底筋を緩めます。
POINT 骨盤底筋を鍛えるストレッチ
- 仰向けの姿勢でゆっくり息を吐きながら、肛門、膣、陰茎などを引き上げる
- 5~10秒ほど息を止めた後に、ゆっくり息を吐きながら骨盤底筋を緩ませる
- 5回から10回繰り返す
トイレに入る習慣をつける
便意はもちろん、少しでもガスが溜まっているとか、スッキリしない場合は、ガマンしないでトイレに入る習慣をつけることがとても大切です。
排便の情報を脳がキャッチしても、ガマンをし続けたり、せっかくのタイミングを逃したり、それらが連続すると、便意が出るベストなタイミングの情報を、脳が受け取り拒否するようになってしまいます。
深呼吸する
深呼吸も正しい方法で行えばかなり効果があります。
その方法がお腹に少し力を入れながら、肛門をキュッと締めつつ、お腹に手をあてながらどこまでも息を深く吐くことです。
息を吐き終わったら、今度はお腹に手をあてたまま鼻からゆっくりと息を吸い込みます。この動作を3〜4回繰り返してください。
トイレの座り姿勢を変える
トイレの座り姿勢は便通に大きな影響があります! 皆さんはふだん便器に座ったとき、どのような姿勢でいますか?
おそらく普通に座った状態でいきむ人が多いでしょう。しかし何分頑張ってもついに出なかったという人も少なくないのではないでしょうか……。
そこで提案したいのが、排便を促進のためにロダンの「考える人」のような前かがみの姿勢をとっていただきたいということです。
ポイントは前傾姿勢になって、お尻を軸として上半身と下半身が約35度くらいの角度で座ることです。
この姿勢にするには大人の場合は床に台を置かないと35度を維持するのは厳しいでしょう。
そこで必要に応じて踏み台(Amazonなどネット通販でも販売しています)を置き、座る角度を調節するのがオススメです。
POINT トイレの座り姿勢を変える
- 排便が困難な時は前傾姿勢になって、お尻を軸に上半身と下半身が約35度の姿勢でかがむ。
- 35度になりにくい場合は小さな台を踏んでかがむようにする。
的確な診療と薬の処方
自分ではどうにもならない便秘のときは迷わず専門医をたずねましょう。
できるだけ消化器内科や肛門科など、より専門性が高く、話をよく聞いてくれる先生のいるクリニックを選びたいものですね。間違っても一方的に話をして薬だけ出して終わりという病院は避けたいものです。
便秘薬を使うときは慎重になりたいものです。素人判断であれもこれもと手を出すのはやめましょう。
特に刺激性の下剤はクセになりやすく、症状を悪化させる場合もあるため、あまりオススメできません。下剤や浣腸、処方箋は病院の先生とよく相談して処方してもらうようにしましょう。
まとめ
便秘を改善するには、まずは日頃の生活習慣を見直すことが大前提になります。
何か負荷がかかっていないか…。ストレスを受け続けていないか…。睡眠は充分か…。気分をリセットできる大切な時間があるかなどですね。
長いこと習慣化した身体の゙状態を変えることは決して簡単ではありません。あせることなく自分にあった解消法を見つけていきましょう!